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石川県 の 社会保険労務士 丹保から No.153
絶望的に十連休がスタートします。今年のゴールデンウイークは、官公庁や金融機関そして製造業も連休に入ります。小売業やサービス業は営業することになるようです。サービス精神旺盛な私たちの事務所も例年並みに出勤することになりました。給料計算業務を抱えているためです。年末年始と比べても無理な日程で負荷がかかるところ、振込が間に合わず事前の仮計算と事後の確定再精算で二重の作業も想定しています。
また、会社によっては決算の時期でもあり、昇給の時期でもあり、この後の業務の遅れも不安があります。とはいえ、時給のパートさんも有給休暇を期待する年にはなりそうです。
■目次 >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
1<<<<< ワンポイントクイズ
;不合理な待遇差解消のための点検
2<<<<< 今月のお知らせ
;2018企業人基礎研修フォローアップセミナー
;第31期労働社会保険セミナー=基礎講座=
3<<<<< 気になるニュース
;高齢社員戦力化のためのヒント集
;長時間労働に繋がる商慣行を調査
;改正労基法に関するQ&Aを公表
;長時間労働の男性の心筋梗塞のリスク高
;デジタル手続法案が国会に提出
;障害者雇用促進法改正案を国会に提出
;民法改正を「知らなかった」企業が6割超
;コネクテッド・インダストリーズ税制(IoT税制)
;「健康情報等の取扱規程」ひな型の手引きを公表
4<<<<< 広報・リーフレット
;人材開発支援助成金(有期契約労働者等の人材育成)
5<<<<< お役立ちアンサー
■====== 1; ワンポイントクイズ ======================
Q: 不合理な待遇差解消のための点検検討方法は?
A: (答えは巻末をご覧下さい)
■====== 2; 今月のお知らせ
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●企業の未来は‘ヒトづくり’から
2018企業人基礎研修フォローアップセミナー
若手社員の職場定着や従業員が安心して働ける環境づくりにむけ、職場での円滑なコミュニケーション・チームワーク・モチベーション向上などをポイントとしたグループワーク中心の研修を実施します。企業人としての心構え、基礎知識習得を目的に、仕事へのより積極的な行動力を身につけて頂きます。
日 時 平成30年6月13日(水) 9:00~17:00
場 所 小松商工会議所 305号室
対象者 若年従業員(新入社員も受講できます)
受講料 小松商工会議所会員事業所… 3,000円(昼食・資料代含む)
その他の一般企業、個人 … 5,000円(昼食・資料代含む)
講 師 谷口則彦、柏野真吾、吉田優、岡田紗代子、高岡哲夫、丹保敏隆
定 員 30名
申込み 申込書に受講料を添えてお申込下さい。
主 催 小松商工会議所
後 援 石川県社会保険労務士会
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●第31期労働社会保険セミナー=基礎講座=
働き方改革が求められている中で、労働法や社会保険について、どのくらいご存じでしょうか。働き方改革の名の下で制度改正が進みつつありますが、その基礎となる仕組みについて講師を中心としたワークショップ形式の講座で解説します。ひろく労働社会保険に関心を持つ会社員・主婦・高齢者などを対象としますが、会社の人事労務担当者にもお勧めです。
■日時 2019年1月22日~6月11日全10回(火曜日)
18時30分~19時30分
■会場 駅前コミュニティサロン友(小松市土居原町168)
■人数 先着8名
■料金 全10回10,000円 (1回ごとの聴講は2,000円/回)
■主 催 石川中央労務研究所
■申 込 tel 0761-24-1006 または各講師までお申し込みください
(日程と概要・講師)
第一回1月22日 労働基準と労働契約の基礎知識(丹保敏隆)
第二回2月 5日 労働社会保険の概要と保険料(野村正臣)
第三回2月19日 労災保険と業務上災害・通勤災害(名越睦子)
第四回3月 5日 健康保険の適用と給付の基本事項(名越睦子)
第五回3月19日 賃金支払と計算に関する基礎知識(満田美奈子)
第六回4月 9日 労働時間と休日・休暇の基礎知識(満田美奈子)
第七回4月23日 給与と年金にかかる税の基礎知識(南一栄)
第八回5月14日 雇用保険制度の仕組と給付の概要(勝原知佳子)
第九回5月28日 老齢年金の受給に関する基本事項(東野正孝)
第十回6月11日 遺族年金と障害年金の給付の仕組(東野正孝)
■====== 3; 気になるニュース ======================
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構では、「産業別高齢者雇用推進ガイドラインのご紹介~高齢従業員がいきいきと働くためのヒント集~」の改訂版として、産業別高齢者雇用推進ガイドラインから、企業の取組事例や提案を抽出し「高齢社員戦力化のためのヒント集」を公表しています。
中小企業庁が中小企業を対象に2018年12月に実施した「長時間労働に繋がる商慣行に関するWEB調査」結果(有効回答数2537社)によると、繁忙期は約7割の企業で発生、短納期受注は直近1年間で6割の企業で発生していることが判明し、発生割合が全体平均より高い業種は、「建設業」、「繊維産業」、「紙・紙加工品産業」、「印刷産業」、「広告業」となっています。
厚生労働省から「改正労働基準法に関するQ&A」が公表され、2019年4月1日から順次施行される「働き方改革関連法による労働基準法の改正」について、素朴な疑問から、専門的で細かな内容まで、Q&A形式で重要事項がまとめられています。
長時間労働の男性は、急性心筋梗塞(こうそく)になるリスクが高まるという研究結果を、国立がん研究センターや大阪大などの研究チームが公表、40~59歳の男性約1万5千人の方々を約20年間追跡した調査結果に基づき、労働時間と急性心筋梗塞・脳卒中発症との関連を調べた結果となっています。
行政のデジタル化に関する基本原則及び行政手続の原則オンライン化のために必要な事項を定めるいわゆる「デジタル手続法案」が国会に提出されましたが、この改正法案は、基本原則などの必要な事項を定めるほか、個別分野における各種施策を講ずるため、住民基本台帳法、公的個人認証法、マイナンバー法などの改正を行うものとなっています。
東京商工会議所が発表した「中小企業の法務対応に関するアンケート調査」結果(有効回答数921社)によると、2020年4月に施行される売掛金などの債権に関する民法改正を「知らなかった」と回答した企業が61.1%と、6割を超えたことが明らかになりました。従業員数の多い「301人~」の企業では「知っていた」が79.7%と約8割に達する一方で、従業員数が少ない「1~20人」の企業では28.8%と3割を下回っています。
コネクテッド・インダストリーズ税制は、一定のサイバーセキュリティ対策が講じられたデータ連携・利活用により、生産性を向上させる取組について、それに必要となるシステムや、センサー・ロボット等の導入を支援する税制措置で、2019年4月より、認定を受けた中小企業等は、計画に関する設備投資について日本政策金融公庫から特別利率での貸付を受けられるようになりました。
働き方改革関連法による労働安全衛生法の改正に基づいて、「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針」が策定され、労働者の心身の状態の情報の取扱いに関する原則を明らかにするとともに、事業者が策定すべき取扱規程の内容、策定の方法、運用などについてとりまとめ、取扱規程のひな形(健康情報等の取扱規程)も紹介されています。
■====== 4; 広報・リーフレット ======================
◆人材開発支援助成金(特別育成訓練コース)
有期契約労働者等の人材育成に取り組む事業主の皆さまへ
人材開発支援助成金は、労働者の職業生活設計の全期間を通じて段階 的かつ体系的な職業能力開発を効果的に促進するため、事業主等が雇用 する労働者に対して職務に関連した専門的な知識及び技能の習得をさせ るための職業訓練などを計画に沿って実施した場合に、訓練経費や訓練 期間中の賃金の一部等を助成する制度です。「特別育成訓練コース」は、有期契約労働者等に下記の訓練をおこなった場合に支給されます。
1. 一般職業訓練(Off-JT)(育児休業中訓練、中長期的キャリア形成訓練を含む)
2. 有期実習型訓練(ジョブ・カードを活用したOff-JTとOJTを組み合わせた3~6か月の職業訓練)
3. 中小企業等担い手育成訓練(業界団体を活用したOff-JTとOJTを組み合わせた最大3年の職業訓練)
『Off-JTの支給額』
賃金助成
1人1時間当たり 760円
※1人あたりの助成時間数の限度は1,200時間
経費助成
1人当たり Off-JTの訓練時間数に応じた金額
●一般職業訓練(育児休業中訓練)、有期実習型訓練
※中小企業担い手育成訓練は対象外
100時間未満・・・・・・・・・10万円
100時間以上200時間未満・・・20万円
200時間以上・・・・・・・・・・30万円
●中長期的キャリア形成訓練
100時間未満・・・・・・・・・15万円
100時間以上200時間未満・・・30万円
200時間以上・・・・・・・・・・50万円(30万円)
●有期実習型訓練後に正規雇用等に転換された場合
100時間未満・・・・・・・・・15万円
100時間以上200時間未満・・・30万円
200時間以上・・・・・・・・・・50万円
『OJTの支給額』
実施助成
1人1時間当たり 760円
※1人あたりの助成時間数の限度は680時間
※中小企業担い手育成訓練の助成時間数の限度は1,020時間
■====== 5; お役立ちアンサー ======================
不合理な待遇差解消のための点検検討方法
「働き方改革関連法」により、2020年4月(中小企業は2021年4月1日)から同じ企業で働く正社員と短時間労働者・有期雇用労働者との間で、基本給や賞与、手当などあらゆる待遇について、不合理な差を設けることが禁止されます。
事業主は、正社員と短時間労働者・有期雇用労働者の働き方の違いに応じて、均衡な待遇(均等な待遇)の確保を図るための措置を講じることが求められます。そして待遇の違いやその理由などについて説明を求められた場合は、説明をしなければなりません。
その準備を行うために、厚生労働省より「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアルが」公開されましたので概要をご案内します。
まず、不合理な待遇差を指し示すものとして、均衡待遇と均等待遇の理解が必要です。
■均衡待遇とは?(不合理な待遇差の禁止)
1.職務内容(※)
2.職務内容・配置の変更の範囲
3.その他の事情
の違いに応じた範囲内で、待遇を決定する必要があります。
■均等待遇とは?(差別的取扱いの禁止)
1.職務内容(※)
2.職務内容・配置の変更の範囲
が同じ場合、待遇について同じ取扱いをする必要があります。
※業務の内容及び責任の程度
この「均等待遇」と「均衡待遇」を実現することが、法が求める不合理な待遇差の解消の具体的な内容です。その点検と検討の進め方は以下のようになります。
≪第一段階≫
社内の労働者を社員タイプごとに区分し、それぞれの特徴を 「労働契約期間」「1週間の労働時間」をもとに整理します。 これよって、「均等待遇」「均衡待遇」の対象となる労働者 を確認します。
≪第二段階≫
社員タイプごとに個々の待遇の現状を整理し、「適用の有無」「決定基準」に違いがあるかを確認します。
≪第三段階≫
●均等待遇が求められる場合
すべての待遇について比較対象労働者と同じ取り扱いにする ことが義務付けられることになりますので、速やかに比較対象 の労働者と同じ取り扱いにするための検討を実施する必要が あります。
●均衡待遇が求められている場合
当該待遇の「性質・目的」を確認・整理し、「性質・目的」に適合する「職務の内容」「職務の内容・配置の変更の範囲」「その他の事情」の3考慮要素の中から特定し、その考慮要素に基づき「違い」を適切に説明できるかを検討します。
≪第四段階≫
●第三段階で問題となった待遇差の是正策を検討します。
まだ、先の話のようではありますが、是正が必要になった場合には、調整や検討しなければならないことが多数あります。
まずは、第三段階まで確認した上で、対応が必要かどうか確認しておくことをお勧めいたします。
2019年4月20日