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石川県 の 社会保険労務士 丹保から No.160

 晴れた日には事務所の窓から白山が冠雪している様子を覗えるようになりました。
普段の年ならアラレや時雨れの始まる季節ですが、今年は穏やかな気候で、まだ雨になって降ってくるようです。

■目次 >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

1 <<<<< ワンポイントクイズ
    ;ピアボーナスとは
2 <<<<< 今月のお知らせ
    ;「学び直し」「福祉住宅」「安衛VR」をテーマに研究会
3 <<<<< 気になるニュース
    ;下請等中小企業における取引条件の改善状況
    ;今臨時国会で会社法改正法案を審議へ
    ;年末調整手続の電子化に向けた取組
    ;台風19号による被害者に税の特例
    ;台風19号の被災者へ医療など情報を公表
    ;消費税転嫁対策の取組状況
    ;「時間外労働等改善助成金」上限設定コース申請期限延長
    ;平成31年就労条件総合調査年休取得率は52.4%と横ばい
4 <<<<< 広報・リーフレット
    ;自分で育てる自分の年金、iDeCoイデコ
5 <<<<< お役立ちアンサー

■====== 1; ワンポイントクイズ ===========

Q: ピアボーナスとはどんなものでしょう?
A:  (答えは巻末をご覧下さい)

■====== 2; 今月のお知らせ ===========

「学び直し」と「福祉住宅」と「安衛VR」をテーマに研究会を開催します、
参加は無料ですがお申込は必要です。終了後に任意参加で加賀まるイモお好み焼きパーティーを企画しております。
件 名 石川中央労務研究会第58回業務研究会
日 時 令和元年12月21日午後1時30分から5時00分まで
場 所 白山市松任公民館(石川県白山市西新町170-1)
テーマ 1.50代からはじめる学び直し
      ~ただいま大学院生、修士2年です~
    2.高齢者・障害者のための福祉住宅
    3.バーチャルリアルティを活用した安全衛生
    4.その他……近況報告など(参加者の情報交換)
参加費 無料(オブザーバ参加も無料ですが申込は必要です)
*懇親会の出欠も研究会の出欠と併せてお知らせください
===懇親会(懇親会のみ参加も可)===
加賀まるイモお好み焼きパーティー
 日時:令和元年12月21日(土)午後5時30分頃から
 場所:フードバー「我楽」がらく
   ;石川県白山市橋爪町478-6 電話:076-287-6215)
 会費:アルコールなし、3,000円ほど
   (恐縮ですが20日以降のキャンセルは会費徴収)

■====== 3; 気になるニュース ==========

下請等中小企業における取引条件の改善状況調査結果

中小企業庁は、下請等中小企業の取引条件の改善に向けた取組の浸透状況や事業者間の取引状況を把握するための調査を行い、令和元年(2019年)10月7日にその結果をとりまとめ、公表しました。これによると、「価格決定方法の適正化」や「支払条件の改善」について、直近1年以内で改善が進みつつあることなどが確認されたようです。なお、今回の調査では、現在、中小企業が直面している人手不足の状況や「働き方改革」にかかる影響などについても併せて調査が行われました。

今臨時国会で会社法改正法案を審議へ

 政府は、今臨時国会(会期:10月4日から12月9日)に会社法改正法案を提出する見通しです。そこで改正法が成立すると早ければ2020年にも施行となります。
2019年2月14日に法務省の法制審議会総会で「会社法制(企業統治等関係)の見直しに関する要綱案」が承認されていましたが、通常国会への法案提出は見送られておりました。
今回の改正は、2014年の改正(2015年施行)に次ぐ再改正となるものです。今般の改正も、前回と同様にコーポレートガバナンスの強化が主な目的となっています。
そのため、取締役等による企業経営に対するルールの整備のみならず、株主との対話において重要な役割を果たす株主総会の制度についても、見直しが行われるものです。

年末調整手続の電子化に向けた取組について(令和2年分以降)

令和2年分の年末調整から、生命保険料控除、地震保険料控除及び住宅借入金等特別控除に係る控除証明書等について、勤務先への電子データによる提供が可能となったことなどを受けて、年末調整手続の電子化に向けた施策が実施されます。国税庁では、年末調整手続の電子化に関する各種情報を掲載しています。

台風19号による被害者に税の特例

台風19号は日本列島を直撃し、その被害の大きさが明らかになってきていますが、こうした中、国税庁は、「台風第19号により被害を受けられた皆様方へ」として災害による被害を受けた際の申告・納税等に関する手続等をまとめホームページ上に公表しています。それによると、災害により被害を受けた場合には、次のような申告・納税等に係る手続等があります。

台風19号の被災者へ厚労省が医療、雇用・労働、年金などの情報を公表

 厚生労働省から、令和元年台風第19号に関し、健康・医療、介護・福祉、雇用・労働、年金についての情報が公表されています。たとえば、雇用・労働の情報として、「令和元年台風第19号による被害に伴う労働基準法・労働契約法に関するQ&A」も用意されています。被害にあわれた企業では、従業員への対応(賃金の支払など)についても判断に迷うことが出てくるかと思いますが、対応を進めるうえでのヒントになる情報が提供されているか確認してみてはいかがでしょうか。ここでは特に雇用・労働に関する情報をご紹介します

消費税転嫁対策の取組状況
経済産業省国税庁

 経済産業省では、平成26年4月の消費税率8%引上げ、令和元年10月の消費税率10%引上げを踏まえ、消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保する観点から、様々な転嫁対策を実施しています。今般、令和元年9月末までの主な転嫁対策の取組状況を取りまとめ公表しています。引き続き、転嫁状況の監視・取締り等を通じ、転嫁拒否行為の未然防止を図るとともに、違反行為に対しては厳格に対処していくとしています。

「時間外労働等改善助成金」時間外労働上限設定コース申請期限延長

「時間外労働等改善助成金」時間外労働上限設定コースについて、「2019年度の受付を開始しました。交付申請期限は2020年1月8日までです。」という案内がされています。このコースの申請期限は、令和元年(2019年)11月29日とされていましたが、令和2年(2020年)1月8日まで延長された形になります。助成額は、基本的には、対象経費の合計額の4分の3(一定の場合は5分の4)です(上限あり)。厚生労働省では、2020年4月1日から、中小企業にも時間外労働の上限規制が導入されることを受けて、このコースの活用を勧めています。

平成31年就労条件総合調査結果公表 年休取得率は52.4%と横ばい

厚生労働省から、「平成31年就労条件総合調査」の結果が公表されています。「就労条件総合調査」は、民間企業における就労条件の現状を明らかにすることを目的として実施されています。調査対象は、常用労働者30人以上の民営企業で、今回は、有効回答を得た4,127社の調査結果を集計したものです。調査によると、年次有給休暇の取得状況は、平均取得率52.4%となっており、前年度の平均「51.1%」と比べるとわずかに改善したものの、「付与された日数の半分程度しか、有給を取得できていない」という状況が続いています。

■====== 4; 広報・リーフレット ======================

iDeCo

自分で育てる自分の年金、老後のために今できること、iDeCoイデコ 

■====== 5; お役立ちアンサー ========

ピアボーナスとは
ピアボーナスとは、英語で仲間を意味するpeer(ピア)と報酬を意味するbonus(ボーナス)を組み合わせた言葉で、従業員がお互いに感謝の気持ちと少額の報酬を送り合うことができる仕組み(制度)のことです。近年の若者はFacebookやTwitterなどのSNSに慣れ親しんでいると共に、承認欲求が高い傾向があると言われていることから、その欲求を満たす仕組みとして有効だと言えるでしょう。またベテラン社員でも自己を承認されることは嬉しいものです。
人事領域で有名な「ハーズバーグの動機づけ・衛生理論」というものがありますが、これは心理学者であるハーズバーグが仕事に対するモチベーション要因を論じたもので、達成・承認・責任・成長などが仕事の満足感を与えるとしています。ここで「承認」というキーワードが出てくるように、仕事や仲間に対する承認は、非常に重要な要素だということが分かります。
もちろん、ピアボーナスを始めればすぐに従業員の満足度が高まり、離職率の低下など顕著にその効果が表れた!…とはなりません。大事なのは、
 1.何の目的のために行うのか
 2.その目的達成のために最適な手段(サービス、ツールなど)は何かであり、あくまでも「1」が優先だということです。最近ではHRテック(※)のサービスが多数出てきており、それに付随してピアボーナスに関連するサービスも増えています。
 ※HR(Human Resource:人材)とテクノロジー(Technology)の造語で、採用・評価・勤怠などの  幅広い人事業務において、人工知能(AI)やクラウドなどの最先端テクノロジーを活用したソリューションのこと。
「これからはHRテックだ!」と意気込むあまりに、パソコンやスマートフォンをすぐに使える環境にない事業所において、ピアボーナスのクラウドサービスを導入して形骸化してしまったり、従業員のITリテラシー(ITに関する理解力)が追い付かず浸透しなかったり、という失敗事例も残念ながら少なくありません。
そもそも、流行りのHRテックの活用にこだわる必要もありません。「パソコンやスマホでやり取りをするとコミュニケーションが希薄になるのでは?」という懸念がある場合は、まずはアナログなサンクスカード(小さなカードに感謝の言葉を書いて渡す)の実施でも良いでしょう。カードにその都度言葉を書くのが手間ならば、予め何種類かの言葉を印刷したものを使用するも良し、それも手間ということであれば、市販のコメント入りのシールを「○○が良かったよ!」「ありがとう!」の言葉とともに渡すだけでも効果が上がるものです。カードやシールの枚数に応じてちょっとした報酬を用意するなどアナログなやり方でも十分ピアボーナスの役割を果
たします。
ここまでピアボーナスを中心に話して参りましたが、各種社内制度や、導入している人事関連のサービスも同様で、経営者層・管理者層・現場社員が一体となって、目的を見失うことなく、自社に合った手段で、継続して根付かせることが重要です。

2019年11月20日