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石川県 の 社会保険労務士 丹保から No.161
12月も半ばなのに過ごしやすい日が続きます。月初め、もう遅すぎるだろうと思って立ち寄った洛東の真如堂にはまだ僅かに紅葉が残っていました。ずっとお天気のいいことが分かっていれば、花園か秩父宮あたりまで出かけて一日中ずっとラグビーを見るのも悪くないような年末です。
■目次 >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
1 <<<<< ワンポイントクイズ
;昨年の年次有給休暇の取得状況は?
2 <<<<< 今月のお知らせ
;第32期労働社会保険セミナー 年金講座
;学び直しと福祉住宅と安衛VRをテーマに研究会
3 <<<<< 気になるニュース
;安全衛生関係の報告書類がネット上で作成可能に
;軽減税率制度の消費税申告書の作成の留意点
;令和元年「高年齢者の雇用状況」
;「残業規制の悩み解決」中小企業向けのハンドブックが公表
;消費税の転嫁~よくある勘違い~
;監査役の選任及び報酬等の決定プロセスについて
;『働き方改革 同一労働同一賃金編』を公表
;外国人雇用状況の届出に在留カード番号の記載が必要に
;改正派遣法「労使協定方式」Q&A(第2集)公表
4 <<<<< 広報・リーフレット
;両立支援等助成金(出生時両立支援コース)
;法改正解説リーフレット
同一労働同一賃金
;法改正解説リーフレット
医療機関向け長時間労働是正
;法改正解説リーフレット
一般事業所向け長時間労働是正
5 <<<<< お役立ちアンサー
■==== 1; ワンポイントクイズ ===============
Q: 昨年の年次有給休暇の取得状況は?
A: (答えは巻末をご覧下さい)
■==== 2; 今月のお知らせ ==============
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●第32期労働社会保険セミナー=年金講座=
人生100年時代の年金戦略 ~選択次第で年金額は大違い!~
公的年金制度を正しく理解し、賢く選択してきちんと手続することで、受給できる年金額には大きな差が出ます。
■日 時 2020年1月25日~2月22日全3回(土曜日) 10時30分~
■会 場 北國新聞文化センター小松教室
■料 金 全3回6,600円 別に設備維持費110円と入会金500円
■講 師 名越睦子、東野正孝、丹保敏隆(社会保険労務士)
■主 催 北國新聞文化センター、石川中央労務研究所
■申 込 石川中央労務研究所または北國新聞文化センターまで
==講座の概要==
第1回:令和2年1月25日(土)
1.国民皆年金と公的年金制度の枠組み
2.「積立方式」の年金と「賦課方式」の年金
3.社会保障制度としての公的年金制度
4.年金で損をしないための基本的な知識
5.受給する年金から控除される保険料と税金
第2回:令和2年2月8日(土)
1.年金受給年齢の繰り上げ繰り下げと受給額
2.税制優遇される確定拠出年金の年金上乗せ
3.在職老齢年金制度による給料と年金の増減
4.財政検証とマクロ経済スライドについて
第3回:令和2年2月22日(土)
1.知らないと大損する障害年金と遺族年金
2.きっと得するこれからの年金制度改正の動向
3.年金の世代間格差について
4.年金制度は将来的に破綻するのか?
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●「学び直し」と「福祉住宅」と「安衛VR」をテーマに研究会
「学び直し」と「福祉住宅」と「安衛VR」をテーマに研究会を開催します。参加は無料ですがお申込は必要です。終了後に任意参加で加賀まるイモお好み焼きパーティーを企画しております。
件 名 石川中央労務研究会第58回業務研究会
日 時 令和元年12月21日午後1時30分から5時00分まで
場 所 白山市松任公民館(石川県白山市西新町170-1)
テーマ 1.50代からはじめる学び直し
~ただいま大学院生、修士2年です~
2.高齢者・障害者のための福祉住宅
3.バーチャルリアルティを活用した安全衛生
4.その他……近況報告など(参加者の情報交換)
参加費 無料(オブザーバ参加も無料ですが申込は必要です)
*懇親会の出欠も研究会の出欠と併せてお知らせください
===懇親会(懇親会のみ参加も可)===
加賀まるイモお好み焼きパーティー
日時:令和元年12月21日(土)午後6時頃から
場所:フードバー「我楽」がらく
;石川県白山市橋爪町478-6 電話:076-287-6215)
会費:アルコールなし、3,000円ほど
(恐縮ですが20日以降のキャンセルは会費徴収)
■==== 3; 気になるニュース =============
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★安全衛生関係の報告書類がネット上で作成可能に
厚生労働省では、令和元年12月2日から「労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス」が開始されています。本サービスは、労働基準監督署へ提出する労働安全衛生関係法令の届出等におけるはじめての取組みです。ただし、本サービスは申請や届出をオンライン化するものではありません。作成した帳票は、必ず印刷のうえ、所轄の労働基準監督署への提出が必要になります。
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★軽減税率制度の消費税申告書の作成の留意点
令和元年10月1日から消費税の軽減税率制度がスタートしていますが、来年には軽減税率制度実施後初めての消費税申告期が到来します。国税庁は、事業者に向けて軽減税率制度実施後の消費税申告書作成の留意点を公表しています。軽減税率制度の下での消費税申告書の作成に当たっては、取引を税率の異なるごとに区分して記帳(区分経理)した帳簿等に基づいて消費税額を計算することとなるため、区分経理を適切に行うことが重要となります。
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★令和元年「高年齢者の雇用状況」
厚生労働省では、高年齢者を65歳まで雇用するための「高年齢者雇用確保措置」の実施状況などを集計した、令和元年「高年齢者の雇用状況」(6月1日現在)を取りまとめ公表しています。「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」では65歳までの安定した雇用を確保するため、企業に「定年制の廃止」や「定年の引上げ」、「継続雇用制度の導入」のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を講じるよう義務付け、毎年6月1日現在の高年齢者の雇用状況の報告を求めています。
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★「残業規制の悩み解決」中小企業向けのハンドブックが公表
厚生労働省から、「時間外労働の上限規制”お悩み解決”ハンドブック」が公表されています。中小企業の事業主の皆様に向けて、令和2年(2020年)4月からスタートする時間外労働の上限規制に対応するため取組を中心に、「働き方改革」の秘訣がまとめられ、労働時間の短縮に効果的と思われる労働時間制度(各種の変形労働時間制など)、時間外労働を短くするために利用できる助成金、マネできる他社の成功事例などが紹介されています。
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★消費税の転嫁~よくある勘違い~
公正取引委員会事務総局中部事務所では、消費税の転嫁に関して相談を受けています。その中で多く見受けられる「勘違い」について、Q&A形式でまとめたものが公表されています。
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★監査役の選任及び報酬等の決定プロセスについて
日本監査役協会ホームページで「「監査役の選任及び報酬等の決定プロセスについて-実務実態からうかがえる独立性確保に向けた課題と提言-」が公表されています。企業不祥事は依然頻発していますが、昨今の企業不祥事においても、経営者の独断や脆弱な内部統制体制等不正の温床を長年にわたり放置した事案が数多くあり、このような企業不祥事を防止・発見するためには、監査の充実が強く求められています。
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★『働き方改革 法改正で何が変わるの?同一労働同一賃金編』を公表
全国社会保険労務士会連合会では、働き方改革に関する施策の一環として、働き方改革関連法のうち、パートタイム・有期雇用労働法を中心に、「同一労働同一賃金」に係る項目について解説した、事業主向けリーフレットを新たにリリースしています。本リーフレットは、企業の現状を確認できるチェックリストや法施行スケジュールを掲載するとともに、不合理な待遇差の点検方法やポイント解説、社労士の支援事例等を記載しており、事業主の働き方改革への対応を促進する内容となっています。
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★外国人雇用状況の届出において在留カード番号の記載が必要に
令和2年3月1日以降に、雇入れ、離職をした外国人についての外国人雇用状況の届出において、在留カード番号の記載が必要となります。外国人雇用状況届出における届出方法は、雇用保険被保険者の場合とそれ以外の場合で、届出方法が異なりますので、ご注意ください。
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★改正派遣法「労使協定方式」についてQ&A(第2集)を公表
働き方改革関連法による改正派遣労働者法により、派遣先均等・均衡方式または労使協定方式のいずれかの待遇決定方式により、派遣労働者の待遇を確保することが、派遣元事業主の義務とされました(令和2年(2020年)4月1日施行)。
「労使協定方式」については、「同種の業務に従事する一般労働者の賃金」と同等以上であることが要件となっており、この労使協定方式に関するQ&Aの第2集が公表されています。
■==== 4; 広報・リーフレット ============
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◆両立支援等助成金(出生時両立支援コース)
男性労働者が育児休業・育児目的休暇を取得しやすい職場風土作りの取り組みを行い、実際に利用させた事業主に対して助成されます!
対象は次の1または2に該当する雇用保険の適用事業所の事業主
【1】男性労働者の育児休業 次の1・2のいずれにも該当すること
1.平成28年4月1日以後に、男性労働者が育児休業を取得しやすい職場風土づくりの取り組みを行っていること(支給申請の対象となった男性労働者の育児休業開始日の前日までに行っていることが必要です)
2.雇用保険の被保険者として雇用する男性労働者に、連続した14日以上(中小企業にあっては5日以上)の育児休業を取得させること
【2】育児目的休暇 次の1~3のいずれにも該当すること
1.男性労働者が子の出生前後に取得できる育児目的休暇を新たに導入し、労働協約または就業規則に規定していること
2.男性労働者が育児目的休暇を取得しやすい職場風土づくりの取り組みを実施していること
3.男性労働者が、子の出生前6週間または出生後8週間以内に、合計して8日以上の育児目的休暇を取得したこと
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◆「働き方改革 法改正で何が変わるの?」
(法改正解説リーフレット同一労働同一賃金)
働き方改革関連法のうち、パートタイム・有期雇用労働法を中心に、同一労働同一賃金について解説した事業主向けリーフレットです。 企業の現状を確認できるチェックリストや法施行スケジュールを掲載するとともに、不合理な待遇差の点検方法やポイント解説、社労士の支援事例等を記載しております
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◆「働き方改革 法改正で何が変わるの?」
(法改正解説リーフレット医療機関向け長時間労働是正)
働き方改革関連法のうち長時間労働是正に向けた法改正内容を解説した医療機関向けリーフレットです。医療機関における法改正スケジュールや対応すべきポイント、コラムなどを掲載しており、医療業界に特化した内容になっています。
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◆「働き方改革 法改正で何が変わるの?」
(法改正解説リーフレット一般事業所向け長時間労働是正)
働き方改革関連法のうち長時間労働是正に向けた法改正内容を解説した事業主向けリーフレットです。企業の現状を確認できるチェックリストや法施行スケジュールを掲載するとともに、具体的な対応へのアドバイスや社労士の支援事例を記載しています。
■==== 5; お役立ちアンサー ==============
=昨年の年次有給休暇の取得状況=
厚生労働省から、「平成31年就労条件総合調査」の結果が公表されています。「就労条件総合調査」は、民間企業における就労条件の現状を明らかにすることを目的として実施されています。調査対象は、常用労働者30人以上の民営企業で、今回は、有効回答を得た4,127社の調査結果を集計したものです。調査によると、年次有給休暇の取得状況は、平均取得率52.4%となっており、前年度の平均「51.1%」と比べるとわずかに改善したものの、「付与された日数の半分程度しか有給を取得できていない」という状況が続いています。
ポイントは次のとおりです。
●年次有給休暇の取得状況(平成30年(又は平成29会計年度))
・年間の年次有給休暇の労働者1人平均付与日数18.0日
〔前年調査18.2日〕うち、平均取得日数9.4日〔同9.3日〕
・平均取得率52.4%〔同51.1%〕
前年度の平均「51.1%」と比べるとわずかに改善したものの、
「付与された日数の半分程度しか、有給を取得できていない」
という状況が続いています。
総合旅行サイトのエクスペディア・ジャパンが行った『世界19カ国 有給休暇・国際比較調査2018』によると、2018年の日本の有給取得率は50%で、3年連続最下位。他国を見てみると取得率上位3カ国のブラジル、フランス、スペインが100%、日本の次に有給取得率の低いオーストラリアは70%となっています。
日本の有給取得率は世界的に見てもかなり低い状態です。
■有給取得率が低い理由
厚生労働省が2014年に行った『ワーク・ライフ・バランスに関する意識調査報告書 P67、69』によると、有給取得率の低い人ほど、「一人当たりの仕事量が多い」「一部の人に仕事が偏りがち」「突発的な業務が生じやすい」職場だと感じているようです。
また、有給取得がなかなか進まない理由として、「忙し過ぎる」「社会や企業に長時間労働の短縮や休暇取得促進の意識がない」「もしものために休める日を残しておきたい」「上司や周囲の評価が気になる」といったことを挙げています。この結果から、以下の3つの要因で、日本の有給消化率が低いと考えられます。
1.慢性的な人手不足と業務過多
常に人手不足な職場では、「誰か一人でも休んでしまうと業務が回らなくなってしまう」という状況に陥りがちです。また職場全体が人手不足ではない場合でも、専門知識を持つ人が限られていたり、特定の人しかできない業務があったりすると、「自分しかできない業務があるので休めない」「何か突発的な対応が必要になった際に、対処できる人がいないため休めない」といった事態が起きています。
2.企業風土と管理職の意識不足
「休まない人が評価される」という企業風土があると、従業員は評価を気にしてなかなか有給を取得できません。また、管理職自身がほとんど有給を取得していない状況では、部下が有給を取得しようという意識がなかなか働きません。
3.いざというときの備え
介護や子育てといった家庭の事情を抱える従業員は、突発的な休みが必要なときに備えて、普段は積極的に有給を使うことを控える傾向があるようです。またそうした事情がなくても、自分が急に体調不良になったときに備えて、有給の取得を最低限に抑えようとする従業員もいると考えられます。
厚生労働省の『平成30年就労条件総合調査の概況 p6』によると、「電気・ガス・熱供給・水道業」「複合サービス事業」「鉱業、採石業、砂利採取業」「情報通信業」「製造業」「金融業、保険業」の上位6業種の有給取得率は、全体平均(51.1%)」を10%弱~20%ほど上回っています。
一方で、「宿泊業、飲食サービス業」「卸売業、小売業」「生活関連サービス業、娯楽業」「建設業」「教育、学習支援業」の下位5業種の有給取得率は、全体平均よりも10%弱~20%弱下回っています。有給取得率の一番高い業種と低い業種とでは、約40%もの開きがあります。
この結果から、有給取得率の高い業種の特徴として「法人に商品・サービスを提供している」「自分のペースで仕事を進めやすい」などが考えられます。一方で、有給取得率の低い業種では「個人に商品・サービスを提供している」「顧客やチームの状況に合わせて仕事を進めることが多い」「基本的に平日休みで土日は休みづらい」「シフト勤務が多い」といった特徴がみられます。
●勤務間インターバル制度の導入状況別企業割合
(平成31年1月1日現在)
・「導入している」企業3.7%〔前年調査1.8%〕
・「導入を予定又は検討している」企業15.3%〔同9.1%〕
年休取得率、勤務間インターバル制度の導入企業割合ともに、前年調査よりも増加していますが、いずれも政府目標にはほど遠いようです。
【政府目標】
・年休取得率:2020年までに70%以上
・勤務間インターバル制度の導入企業割合:2020年までに10%以上
2019年12月20日