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石川県 の 社会保険労務士 丹保から No.168

 コロナ対策としての規制や自粛が次第に緩和され、石川県では観光産業を支援するため宿泊補助が受けられることとなり、多くの人が温泉旅館で少し豪華めの料理にして鬱憤晴らしをしているようです。何とか、これ以上に感染が拡大しないまま、終息に向かって欲しいものです。

■目次 >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

1<<<<< ワンポイントクイズ
    ;新型コロナの労災認定
3<<<<< 気になるニュース 
    ;個別労働紛争は「いじめ・嫌がらせ」が8年連続トップ
    ;日本年金機構より標準報酬月額の特例改定についてQ&A
    ;「女性活躍加速のための重点方針2020」を取りまとめ
    ;法務省が、「押印についてのQ&A」を作成公表
    ;骨太方針(2020)の骨子案を提示
    ;新型コロナ影響下における生活意識行動の変化調査
    ;両立支援等助成金「新型コロナウイルス感染症対応特例」
    ;特例措置に関する雇用調整助成金等のFAQを公表
    ;「時間単位年次有給休暇制度に関するページ」
4<<<<< 広報・リーフレット
    ;家賃支援給付金
    ;標準報酬月額の特例改定
5<<<<< お役立ちアンサー

■====== 1; ワンポイントクイズ ============

Q: 新型コロナウイルスの労災認定は?
A:  (答えは巻末をご覧下さい)

■====== 3; 気になるニュース ============

個別労働紛争は「いじめ・嫌がらせ」が8年連続トップ

 厚生労働省は「令和元年度個別労働紛争解決制度の施行状況」を公表、総合労働相談件数は118万8,340件と12年連続で100万件を超え、個別労働紛争の相談件数では87,570件(同5.8%増)で8年連続トップ、厚生労働省では助言指導及びあっせんの運用を的確に行うなど、引き続き個別労働紛争の未然防止と迅速な解決に向けて取り組んでいくとのことです。

日本年金機構より標準報酬月額の特例改定についてQ&Aが公表

新型コロナウイルス感染症の影響により休業した社員で、休業により報酬が著しく下がった方については、事業主からの届出により、健康保険・厚生年金保険の標準報酬月額を、通常の随時改定(4か月目に改定)によらず、特例により翌月から改定することが可能となっています。この特例(標準報酬月額の特例改定)について、この度、日本年金機構からQ&Aが公表されました。

「女性活躍加速のための重点方針2020」を取りまとめ

首相官邸において「すべての女性が輝く社会づくり本部(第9回)」が開催され、「女性活躍加速のための重点方針2020」が取りまとめられました。今回の重点方針では「新型コロナウイルス感染症拡大による女性への深刻な影響及び女性活躍の新たな可能性への対応(テレワークやオンラインの活用)」を大きなテーマとしています。

法務省が、「押印についてのQ&A」を作成・公表

今般、テレワークの推進の障害となっていると指摘されている民間における押印慣行について、その見直しに向けた自律的な取組が進むようQ&Aを作成したとのことです。注目すべき点はQ&A冒頭に「特段の定めがある場合を除き、契約に当たり押印をしなくても契約の効力に影響は生じない。」と政府が見解を示したことです。

骨太方針(2020)の骨子案を提示

 令和2年6月22日に首相官邸で開催された「令和2年第9回経済財政諮問会議」の資料が公表されています。本年の骨太方針には、新型コロナウイルスで顕在化した問題に加えて、ポストコロナに向けた「新たな日常」構築の原動力となるデジタル化への集中投資・活用とその環境整備、社会保障の構築、東京一極集中の是正などが盛り込まれています。

新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査

 内閣府から、「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」の結果が公表されています。この調査は、インターネット調査により登録モニター10,128人から得た回答を集計したもので、主な調査項目は、生活意識の変化、生活行動の変化、将来の生活意識・行動の変化、等です。

両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)に「新型コロナウイルス感染症対応特例」を創設

 新型コロナウイルス感染症への対応として、家族の介護を行う必要がある労働者が育児・介護休業法に基づく介護休業とは別に、有給休暇を取得して介護を行えるような取組を行う中小企業事業主を支援するため、両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)に「新型コロナウイルス感染症対応特例」が創設されました。

6月12日付け特例措置に関する雇用調整助成金等のFAQを公表

厚生労働省から、「令和2年6月12日付け特例措置に関する雇用調整助成金(緊急雇用安定助成金)FAQ」が公表されています。令和2年4月1日から令和2年9月30日に行われる休業及び教育訓練について、雇用調整助成金・緊急雇用安定助成金の1人1日当たり助成額の上限を8,330円から15,000円まで特例的に引き上げることとされました。また、解雇等を行わない中小企業の助成率を10/10に引き上げ、緊急対応期間を9月末まで延長することとなりました。

働き方休み方改善ポータルサイトより「時間単位の年次有給休暇制度に関するページ」が開設

「働き方・休み方改善ポータルサイト(厚生労働省の委託事業)」では、企業の皆様が自社の社員の働き方・休み方の見直しや改善に役立つ情報を提供しています。「治療のために通院したり、子どもの学校行事への参加や家族の介護など、労働者のさまざまな事情に応じて、柔軟に休暇を取得できるよう、時間単位の年
次有給休暇制度を導入しましょう」とし、「就業規則への記載」、「労使協定の締結」などについて説明がされています。

■====== 4; 広報・リーフレット ============

家賃支援給付金

5月の武漢コロナ緊急事態宣言の延長等により、売上の減少に直面する事業者の事業継続を下支えするため、地代・家賃(賃料)の負担を軽減する給付金が支給されます。

新型コロナ休業で標準報酬月額の特例改定

新型コロナウイルス感染症の影響に伴う休業で著しく報酬が下がった場合、健康保険・厚生年金保険料の標準報酬月額を翌月から改定することが可能です。今般の新型コロナウイルス感染症の影響により休業した方で、休業により報酬が著しく下がった方について、一定の条件に該当する場合は、健康保険・厚生年金保険料の標準報酬月額を、通常の随時改定(4か月目に改定)によらず、特例により翌月から改定可能です。

■====== 5; お役立ちアンサー ============

新型コロナウイルスの労災認定について
加藤勝信厚生労働大臣は、5月15日の閣議後の会見で、新型コロナウイルス感染者を初めて労災認定したと明かしました。それから一か月余りが経過していますが、現状がどうなっているか、認定に関わる通達も見ながら状況をお伝えします。
1.新型コロナウイルス感染症の労災認定に係る通達
 新型コロナウイルス感染症の労災補償における取扱いについて、4月28日に通達が発出されています。概要は以下の通りです。
一.考え方について
業務起因性の判断に際しては、本感染症の現時点における感染状況と、症状がなくとも感染を拡大させるリスクがあるという本感染症の特性にかんがみた適切な対応が必要となる。このため、当分の間、別表第1の2第6号5の運用については、調査により感染経路が特定されなくとも、業務により感染した蓋然性が高く、業務に起因したものと認められる場合には、これに該当するものとして、労災保険給付の対象とすること。
二.具体的な取扱い(国内の労働者について)
A)医療従事者等
医師、看護師、介護従事者等が新型コロナウイルス感染症に感染した場合には、業務外で感染したことが明らかである場合を除き、原則として労災保険給付の対象となること。
B)医療従事者等以外の労働者であって感染経路が特定されたもの
感染源の業務に内在していたことが明らかに認められる場合には、労災保険給付の対象となること。
C)医療従事者等以外の労働者であって上記B以外の者
調査により感染経路が特定されない場合であっても、感染リスクが相対的に高いと考えられる次のような労働環境下での業務に従事していた労働者が感染したときには、業務により感染した蓋然性が高く、業務に起因したものと認められるか否かを、個々の事案に即して適切に判断すること。この際、新型コロナウイルスの潜伏期間内の業務従事状況、一般生活状況等を調査した上で、医学専門家の意見も踏まえて判断すること。
イ)複数(請求人を含む)の感染者が確認された労働環境下での業務
(請求人以外の他の労働者が感染している場合のほか、例えば、施設利用者が感染している場合等を想定)
ロ)顧客等との近接や接触の機会が多い労働環境下での業務
(小売業の販売業務、バス、タクシー等の運送業務、育児サービス業務等を想定)
2.労災請求件数
クラスター発生が話題となった医療従事者等の支給決定率は5.6%に留まっています。
また、医療従事者等以外の業種でも、支給決定率は9.4%に留まっていることから、労災補償が十分に進んでいない実態が明らかとなっています。なお、前述の通達では、新型コロナウイルス感染症に関する労災保険給付の請求や相談、支給決定に際して、労働基準監督署(労働局)は厚生労働省に報告・相談をすることになっておりますので、支給決定が遅れていることも考えられます。まずは、業務上での罹患が疑わしい案件については、所轄の労働基準監督署に相談をしながら迅速に対応することが、給付への近道と言えましょう。
3.最後に
そもそもの前提として、企業は安全配慮義務として、労働者が就業中に新型コロナウイルス感染症に罹患することを防止するために必要な措置を行わなければなりません。企業も苦しい時期ではありますが、アフターコロナにおいて事業を継続していくには労働者が健康であることは何より大切なことになります。

2020年7月20日