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石川県 の 社会保険労務士 丹保から No.171

 ここ数日はクマの出没で大騒ぎです。何年か前までは、積雪地域には居ないと思い込んでいたイノシシを防ぐフェンスで苦労したり、カモシカはアオキやヤツデの葉が好きで庭木を食われてしまったり、という話はありました。でもクマが駅前のショッピングセンターにまで入り込むとは...

■目次 >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

1 <<<<< ワンポイントクイズ
       ;年次有給休暇の事後請求
2 <<<<< 今月のお知らせ
       ;体験:加賀まるイモ掘り
       ;成長企業の求人募集と採用
       ;就業規則のつくり方つかい方
3 <<<<< 気になるニュース
       ;中小M&Aハンドブック
       ;長時間労働の監督指導結果
       ;情報機器を用いた安全委員会等
       ;統計からみた我が国の高齢者
       ;中小企業成長促進法の施行
       ;過労死等防止啓発月間
       ;下請取引適正化推進月間
4 <<<<< 広報・リーフレット
       ;トライアル雇用助成金
       ;治療と仕事の両立支援助成金
5 <<<<< お役立ちアンサー

■===== 1; ワンポイントクイズ ===========

Q:年次有給休暇の事後請求への対応は?
A:  (答えは巻末をご覧下さい)

■===== 2; 今月のお知らせ ==========

体験:加賀まるイモ掘り

手取川扇状地の特産「加賀まるイモ」の収穫を体験します。なお、屋外での作業のため、天候により延期あるいは中止にする場合が有ります。
日時 令和2年11月3日(火) 9時00分集合
場所 橋本農園圃場(能美市西任田)
持物 ゴム長、軍手、できれば移植ごて
   ※各自でマスクなど感染防止対策もお願いします。
会費 200円(芋煮会のお握り代として)
   ※マルイモの購入をご希望の方は橋本さんまでお申し込みください。
申込 10月31日(土)迄 0761-24-1006まで電話
主催 石川中央労務研究会

(助成金対応)求人募集と採用のセミナー=受講無料

少人数で気楽に参加できるミニセミナーです。助成金の受給も意識しながら、初めて求人する方、初めて人を雇う方、採用にあたり助成金を活用したい方、などを対象に人の採用が事業の成長につながることを目指してご説明します。
日 時:令和2年10月20日(火) 10:00~11:30
場 所:WEB会議形式
定 員:5名様限定
主 催:石川県よろず支援拠点、石川県産業創出支援機構
申 込:下記から申込書をダウンロードしてFAXでお申し込みください
申込書⇒ http://www.isico.or.jp/event/index.php?ym=2020%2F10&mode=1  

就業規則のつくり方つかい方のセミナー=受講無料

少人数で気楽に参加できるミニセミナーです。就業規則の使い方も意識しながら、初めて就業規則を作る方、立派な就業規則を眠らせている方、もっと就業規則を活用したい方、などを対象に小規模企業の就業規則の作り方と使い方をご説明します。
日 時:令和2年10月27日(火) 10:00~11:30
場 所:WEB会議形式
定 員:5名様限定
主 催:石川県よろず支援拠点、石川県産業創出支援機構
申 込:下記から申込書をダウンロードしてFAXでお申し込みください
申込書⇒ http://www.isico.or.jp/event/index.php?ym=2020%2F10&mode=1 

■===== 3; 気になるニュース ==========

中小企業庁が「中小M&Aハンドブック」を策定

 中小企業庁・経済産業省から、後継者不在の中小企業が事業承継の手段としてのM&Aをより身近なものと感じていただけるよう、「中小M&Aハンドブック」を策定、公表しています。中小企業にとって従来は馴染みがないとされていたM&Aですが、近年では事業承継の1つの選択肢として活用が広まってきています。

長時間労働が疑われる事業場に対する令和元年度の監督指導結果

 厚生労働省から、「長時間労働が疑われる事業場に対する令和元年度の監督指導結果」が公表されました。これは、令和元年度(平成31年4月から令和2年3月までの間)に、長時間労働が疑われる32,981事業場に対して実施された労働基準監督署による監督指導の結果を取りまとめたもので、監督実施事業場のうち78.1%の事業場で、労働基準法などの法令違反が認められました。

情報通信機器を用いた安全委員会等の開催について通達を発出

 厚生労働省から、通達「情報通信機器を用いた労働安全衛生法第17条、第18条及び第19条の規定に基づく安全委員会等の開催について(令和2年基発0827第1号)」が発出されています。事業者は、政令で定める業種及び規模の事業場ごとに、安全委員会、衛生委員会又は安全衛生委員会(以下「安全委員会等」という。)を設置することとされています。近年、この安全委員会等を、情報通信機器を用いて開催することへのニーズが高まっていることを受け、この通達が発出されたものです。

統計からみた我が国の高齢者

 総務省統計局から、「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-(令和2年9月20日)」が公表されています。これは、「敬老の日」を迎えるに当たって、統計からみた我が国の65歳以上の高齢者のすがたについて取りまとめられたものです。令和2年9月15日現在において、総人口に占める高齢者(65歳以上の方)の割合が「28.7%」となり、過去最高を更新しています。各企業においては、高齢者の就業環境を整備していくことが不可欠といわれています。

中小企業成長促進法10月1日に施行

「中小企業の事業承継の促進のための中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律等の一部を改正する法律」(中小企業成長促進法)を施行するための関係政令が閣議決定されました。中小企業成長促進法は、中小企業の廃業を防ぐとともに、中小企業が積極的に事業展開を行い、成長できる環境を整備するために、経営者保証の解除支援、みなし中小企業者特例、海外展開支援、計画制度の整理など、必要な措置を講ずるものです。

11月は「過労死等防止啓発月間」です

 厚生労働省では、11月を「過労死等防止啓発月間」と定め、過労死等をなくすためにシンポジウムやキャンペーンなどの取組を行います。この月間は、「過労死等防止対策推進法」に基づくもので、「過重労働解消キャンペーン」として、長時間労働の是正や賃金不払残業などの解消に向けた重点的な監督指導や、一般の方からの労働に関する相談を無料で受け付ける「過重労働解消相談ダイヤル」などを行います。

■===== 4; 広報・リーフレット ==========

トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)

職業経験、技能、知識の不足などにより就職が困難な求職者を、公共職業安定所または職業紹介事業者等の紹介により、試行的に雇用する事業主に対して賃金の一部が助成されます。

治療と仕事の両立支援助成金

病気になっても働き続けられる会社を応援します!事業者の方が労働者の傷病の特性に応じた治療と仕事の両立支援制度を導入または適用した場合に事業者が費用の助成を受けることができる制度です。

■===== 5; お役立ちアンサー ==========

年次有給休暇の請求時期

Q;当社では、年次有給休暇を請求する場合、前日までに書面で行うよう就業規則に規定しています。ところが最近、当日又は翌日以降になって口頭又は書面で年次有給休暇の請求を行う者が出てきて、対応に苦慮しているところです。この場合、年次有給休暇として承認せず、無断欠勤と扱っても問題はありませんでしょうか。

A;原則として、従業員が年次有給休暇を取得する場合には、その日時を指定して使用者にその旨を通告すれば足り、それ以上の手続きは不要とされています。
 しかしながら、使用者に認められている「時季変更権」との関係から、使用者が時季変更権を行使するための時間的な余裕が必要とされ、その時間的な余裕は企業の規模や業態によって異なるものの、「前日まで」とする就業規則の規定は妥当なものと考えられます。
したがって、当日又はその後の有給休暇の請求を認めないという取り扱いは可能であると考えられますが、一般的に有給休暇の取得率が低い現状を勘案すると、一定のルールのもとに当日申請を認める取り扱いをすることが妥当であると考えられます。
 原則の申請期限を不必要に長く設定したり、当日以後の申請を理由にかかわらず認めなかったり、使用者の時季変更権を濫用するような対応は、「有給休暇が取得できない」という従業員の不満を大きくし、トラブルを発生させることになってしまいます。
 就業規則の規定通り「前日まで」として例外を認めない場合には、傷病や弔事等の緊急事態が当日に発生した際に有給休暇を取得できない場合が出てくること、また、一定のルールを取り決めないと、管理者によって取り扱いが異なる場合が生じることなどによりトラブルとなるおそれがあります。
 原則としては就業規則規定の通り「前日まで」とし、当日の申請については、事由が「傷病・弔事等のやむを得ない事由であること」と「当日の始業時刻までに請求(連絡)を行うこと」の両要件を満たした場合に年次有給休暇の取得を認め、後日の申請については、「原則として認めないが、会社がやむを得ない事由に該当すると判断した場合に限って、特例として認める」というルールを適用し、これを就業規則にも明記し従業員に周知することで対応できるものと考えます。
 原則として、労働者は年次有給休暇を取得する場合には、日時を指定して使用者にその旨を通告すれば足り、それ以上の手続きは不要とされていますので、原則の申請期限を不必要に長く設定することのないように留意してください。

2020年10月20日