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石川県 の 社会保険労務士 丹保から No.172
先日、初めてのWEB研修を行いました。接続も含め、担当の方に全てセッティングはお任せにして、私の方は講義内容に集中できるはずだったのですが、ところがしかし、受講生の顔は映っているのに声が全く聞こえない。90分間を勝手に喋り捲っただけ。これなら、きっと、DVD収録もできたに違いありません。
■目次 >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
1 <<<<< ワンポイントクイズ
;年次有給休暇を従業員満足につなげるには?
2 <<<<< 今月のお知らせ
;人を雇う時に知っておきたい雇用の助成金
;ジオパークと北前船の美川さんぽ
;NPOゆるりの年賀状印刷
3 <<<<< 気になるニュース
;毎月勤労統計調査現金給与総額が5か月連続で低下
;外国人技能実習実施者に対する監督指導送検等の状況
;特定求職者雇用開発助成金を利用の事業主の方へ
;マスク購入やPCR検査など医療費控除の対象か
;監督指導による賃金不払残業の是正結果
;平成31・令和元年の年休の取得率56.3%で過去最高
;新型コロナ感染症対応休業支援金給付金の対象の「休業」
;高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~
4 <<<<< 広報・リーフレット
;特定求職者雇用開発助成金
(就職氷河期世代安定雇用実現コース)
5 <<<<< お役立ちアンサー
■===== 1; ワンポイントクイズ =============
Q:年次有給休暇を従業員満足につなげるには?
A: (答えは巻末をご覧下さい)
■===== 2; 今月のお知らせ =============
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●人を雇う時に知っておきたい雇用の助成金(無料ウエブセミナー)
初めて求人する方、これから人を雇う方、人を雇うにあたり助成金を活用したい方、を対象に人を採用するとき知っておきたい「雇用の助成金」のセミナーです。
日 時 :令和2年11月24日(火)10:00~11:30
場 所 :WEB会議形式(ZOOM)
定 員 :5名様限定(先着順)
受講料:無料
申込書:ダウンロードしてFAX
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●ジオパークと北前船の美川さんぽ
石川中央労務研究会のスピンアウトとして「ジオパークと北前船の美川さんぽ」を開催いたします。
我楽ママ仙名さんとジオパーク公認ガイド吉田さんに案内して頂き、北前船が日本遺産に認定され白山手取川が世界ジオパークに推薦されたこの時期に企画したものです。
日時 令和2年11月21日(土) 9時30分集合、12時ころ解散予定
持物 歩き易い履物と服装、雨具、飲み物
※コロナ感染防止のため、昼食は解散後に各自でお願いします
主催 石川中央労務研究会
会費 300円ほど(施設入館料として)
※コロナ感染防止のため集合から解散までマスクの着用を
お願いします。
※発熱など体調に不安があるときは参加しないでください
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●NPOゆるりの年賀状印刷
障がい者就労支援施設NPO法人「ゆるり」では年賀状の印刷の受付を始めました。表面、裏面、それぞれ1枚当たり30円です。見本は下記にお問い合わせください。「宛名印刷」をご希望の方は宛名の情報をご用意<ださい。差出人名入れ印刷」は表面になります。
問合せ申し込み 定非営利活動法人ゆるり 担当 中村朱美 tel 0761-58-1575
■===== 3; 気になるニュース =============
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★毎月勤労統計調査現金給与総額が5か月連続で低下
厚生労働省から、「毎月勤労統計調査令和2年8月分結果速報」が公表され、労働者1人当たりの平均賃金を示す現金給与総額(名目賃金)は、前年同月比1.3%減の27万3,263円と5カ月連続の低下となりました。新型コロナウイルス感染症の影響から企業活動が停滞し、労働者の残業時間が減り、所定外給与が大幅に落ち込んでいる状況となっています(所定内給与は前年同月比0.1%減、所定外給与は前年同月比14.0%減)。
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★外国人技能実習実施者に対する監督指導送検等の状況
厚生労働省は、全国の労働局や労働基準監督署が、平成31年・令和元年に外国人技能実習生(以下「技能実習生」)の実習実施者(技能実習生が在籍している事業場)に対して行った、監督指導や送検等の状況について取りまとめ、公表しています。監督指導を行った実習実施者のうち、労働基準関係法令違反が認められたのは71.9%となっており、平成27年からほぼ横ばいで、改善の兆しはうかがえません。
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★特定求職者雇用開発助成金を利用の事業主の方へ
厚生労働省から、特定求職者雇用開発助成金の支給額を減額しない特例について、案内がされています。特定求職者雇用開発助成金については、その対象労働者の実労働時間が一定基準を下回ると、支給額が減額されることとなっています。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響により実労働時間が減少した場合においては、「天災等やむを得ない理由がある場合」として、減額を行わない特例を実施するということです。
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★マスク購入やPCR検査など医療費控除の対象か?
国税庁より、「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」が更新され、10月23日付けでいくつかの問が追加されています。そのうち、所得税の所得控除のうち「医療費控除」に関して、マスク購入やPCR検査などの費用は医療費控除の対象になるのかどうか、国税庁が見解を示しています。ポイントとしては次のとおりです。
・マスク購入は医療費控除の「対象外」
・PCR検査費用は「医師の判断」があれば「対象」、「自己判断」であれば「対象外」
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★監督指導による賃金不払残業の是正結果
厚生労働省は、このたび、労働基準監督署が監督指導を行った結果、平成31年度・令和元年度に、不払だった割増賃金が支払われたもののうち、支払額が1企業で合計100万円以上となった事案を取りまとめ公表しています。この是正結果の公表は、平成14年度から毎年度行われているものですが、今回公表されたのは、労働基準監督署が監督指導を行った結果、平成31年度・令和元年度に、不払だった割増賃金が支払われたもののうち、支払額が1企業で合計100万円以上となった事案を取りまとめたものです。
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★平成31・令和元年の年休の取得率56.3%で過去最高
厚生労働省から、「令和2年就労条件総合調査結果の概況」が公表されています。今回の調査結果で、年次有給休暇の取得率が過去最高となったことが明らかになりましたが、政府は、令和2年までの目標として取得率70%を掲げており、その達成にはほど遠い状況には変わりありません。
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★新型コロナウイルス感染症対応休業支援金給付金の対象となる「休業」
厚生労働省から、「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の支給に当たり、事業主の皆さまのご協力をお願いします/新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の対象となる「休業」についてお知らせします。」が公表されています。主に以下2つの条件に当てはまる方に休業前賃金の8割(日額上限11,000円)を、休業実績に応じて支給する制度です。なお、事業主の負担はありません。
1. 令和2年4月1日から12月31日までの間に、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業主が休業させた中小事業主に雇用される労働者
2. その休業に対する賃金(休業手当)を受けることができない方
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★高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~
少子高齢化が急速に進展し人口が減少する中で、経済社会の活力を維持するため、働く意欲がある高年齢者がその能力を十分に発揮できるよう、高年齢者が活躍できる環境の整備を目的として、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」の一部が改正され令和3年4月1日から施行されます。今回の改正は、個々の労働者の多様な特性やニーズを踏まえ、70歳までの就業機会の確保について、多様な選択肢を法制度上整え、事業主としていずれかの措置を制度化する努力義務を設けるものです。
■===== 4; 広報・リーフレット ==============
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◆特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)
就職氷河期に就職の機会を逃したこと等により長期の不安定雇用を繰り返す方を、公共職業安定所または職業紹介事業者等の紹介により正規雇用労働者として雇い入れた場合、賃金の一部が助成されます。受給内容は1人当たり25万円×2期(中小企業30万円×2期)です。
■===== 5; お役立ちアンサー ===============
『年次有給休暇を従業員満足につなげるためには?』
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労働基準法の改正により年5日間の年次有給休暇を取得させることが義務化されましたが、それから1年以上が経過しました。
果たして年次有給休暇にまつわる状況はどのようになっているのでしょうか?厚生労働省が公表した「令和2年就労条件総合調査結果の概況」によると、平成31年・令和元年の年次有給休暇の取得状況は以下の通りとなっています。
年間の年次有給休暇について(括弧内は前回調査)
平均付与日数:18.0日(18.0日)
平均取得日数:10.1日( 9.4日) 【昭和59年以降過去最多】
平均取得率:56.3% (52.4%) 【昭和59年以降過去最高】
この数値は、平成30会計年度のデータを含む数値となっており必ずしも法改正による増加とは捉えられません。しかしながら、令和2年1月1日現在における、年次有給休暇の計画的付与制度がある企業割合をみると43.2%(前回調査22.2%)、また計画付与日数の割合「5~6日」が66.6%(前回調査39.6%)となっているなど、法改正への対応が明確に表れています。
ところで「平成30年若年者雇用実態調査」によると、在職1年以上~10年未満の期間の方で、初めて勤務した会社をやめた主な理由は「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」と回答した割合が最も高くなっています。このことから若年者の定着に際して、年次有給休暇を含めた「休み方」の整備は一つ重要な要素となっていると言えましょう。
折しも、令和3年1月1日から看護休暇・介護休暇が時間単位で取得できるようになることもあって、時間単位の年次有給休暇制度(以下、「時間単位年休」とします)の導入にも注目が集まっています。以下に本制度の概要をご案内します。
■時間単位の年次有給休暇とは
年次有給休暇は原則1日単位ですが、労使協定の締結により、年5日の範囲内で、時間単位での取得が可能となります。
治療のための通院、子どもの学校行事への参加など、さまざまな事情に応じて、柔軟に休暇を取得できるようにすることが、従業員満足にもつながります。
■就業規則への記載
時間単位年休を導入する場合には、常時10人以上の労働者を使用する事業場では、就業規則に年次有給休暇の時間単位での付与について定めることが必要です。
■労使協定の締結
実際に時間単位年休を導入する場合には、労働者の過半数で組織する労働組合または労働者の過半数を代表する者との間で、書面による協定(労使協定)を締結する必要があります。
労使協定で定める項目は次のとおりです。
・時間単位年休の対象となる労働者の範囲
・時間単位年休の日数(1年5日以内)
・時間単位年休1日分の時間数
(1日分の年次有給休暇が何時間分の時間単位年休に相当するか)
・1時間以外の時間を単位として与える場合の時間数
法律で定められているから、その通り年次有給休暇を与えるということだけでは、他社と差別化することはできません。より従業員の望む通りに年次有給休暇を取得できるようにするという考え方が、他社と差別化し従業員満足度を高めて、結果的に従業員の定着につながっていきます。
2020年11月20日