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石川県 の 社会保険労務士 丹保から No.177
早々と桜が散りツツジやハマナスが咲き始めました。暖かくなって、公園の花を眺めているだけならいいのですが、自宅の玄関周りには草が生え植え込みは枝が伸びて、私のアウトドアシーズンが例年より早く到来したことを感じさせます。浜では冬の砂が堤防の内側に残っていて、こちらは春の準備はこれからというのに、舟を出したばかりの艇庫の脇には太いつる草が芽を吹いて、早く手を付けないと大変な夏になってしまいそうです。
■目次 >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
1 <<<<< ワンポイントクイズ
;フリーランスガイドラインは?
2 <<<<< 今月のお知らせ
;超簡単!!健康体操・ストレッチ・マッサージ
;モデル退職金(賃金事情等総合調査)
3 <<<<< 気になるニュース
;令和3年度雇用・労働分野の助成金
;令和3年度税制改正(法人課税)
;令和3年度税制改正
(個人所得課税・資産課税・消費課税)
;コロナ非正規雇用労働者緊急対策
;令和3年度全国安全週間は7月1日から実施
;テレワークのガイドラインの改定案
;特別休暇制度導入に向けて
4 <<<<< 広報・リーフレット
;子育てパパ支援助成金
;有期パート労働者対応事例集
5 <<<<< お役立ちアンサー
■====== 1; ワンポイントクイズ =============
Q:フリーランスの労働関係法令ガイドラインは?
A: (答えは巻末をご覧下さい)
■====== 2; 今月のお知らせ =============
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●超簡単!!健康体操・ストレッチ・マッサージ
健康体操・ストレッチ・マッサージ動画 Web配信のご案内です。社会保険労務士 井上 知子 先生が実践し、「肩こりがよくなった」「腰痛がなくなった」「仕事が進むようになった」という効果のあった健康体操を皆様に体験してもらい、「健康に」そして「幸せに」なってもらいたいとの想いから動画を制作されました。ぜひご覧ください。
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●モデル退職金(2019年モデル)
静かに見直しが進んでいる退職金のモデル調査結果です。退職一時金を対象として2019年6月現在のモデルとして調査され、中央労働委員会が取扱う労働争議の調整の参考資料とするため産業別等に集計を行い賃金事情等総合調査として公表しているもので、資本金 5億円以上 かつ 労働者 1,000 人以上の企業380 社から選定されています。
■====== 3; 気になるニュース ==============
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★令和3年度雇用・労働分野の助成金のご案内(簡略版・詳細版)が公表されました
令和3年度の雇用・労働分野の助成金についてご紹介します。雇用の安定、職場環境の改善、仕事と家庭の両立支援、従業員の能力向上、生産性向上に向けた取組などに、ぜひご活用ください。実際に助成金を受給するためには、各助成金の個別の要件も満たす必要があります。また、各助成金によって申請期間が異なりますのでご注意下さい。なお、対象事業主数は国の予算額に制約されるため、申請期間中に受付を締め切る場合があります。
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★令和3年度税制改正(法人課税)
令和3年度税制改正(法人課税)では、ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現を図るため、企業のデジタルトランスフォーメーション及びカーボンニュートラルに向けた投資を促進する措置を創設するとともに、こうした投資等を行う企業に対する繰越欠損金の控除上限の特例を設けることとします。あわせて、中小企業の経営資源の集約化による事業再構築等を促す措置が創設されます。
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★令和3年度税制改正(個人所得課税・資産課税・消費課税)
令和3年度税制改正(個人所得課税・資産課税・消費課税)では、家計の暮らしと民需を下支えするため、住宅ローン控除の特例の延長等、セルフメディケーション税制の見直し、国や地方自治体の実施する子育てに係る助成等の非課税措置、退職所得課税の適正化等を行います。
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★新型コロナに影響を受けた非正規雇用労働者等に対する緊急対策(案)
令和3年1月8日以降の今般の緊急事態宣言では、昨年4・5月とは異なり、感染リスクの高い場面に効果的な対策を徹底し、経済への影響を最小限に食い止めているとしています。この中で、雇用・生活の下支えに万全を期すとともに、社会的に孤立している方々に寄り添ったきめ細かい対応を強化することが極めて重要な課題となっています。こうした問題意識の下、令和2年度新型コロナウイルス感染症対策予備費も活用し、非正規雇用労働者や就業に困難を抱える方々に対する緊急支援策を講じるものです。
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★令和3年度全国安全週間は7月1日から実施
全国安全週間は、昭和3年に初めて実施されて以来、「人命尊重」という基本理念の下、「産業界での自主的な労働災害防止活動を推進し、広く一般の安全意識の高揚と安全活動の定着を図ること」を目的に、一度も中断することなく続けられ、今年で94回目を迎えます。令和3年度全国安全週間は、以下のスローガンの下で取り組むこととなります。「持続可能な安全管理未来へつなぐ安全職場」
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★テレワークのガイドラインの改定案が公表されました
ウィズコロナ・ポストコロナの「新しい生活様式」に対応した働き方として、時間や場所を有効に活用しながら良質なテレワークの定着・加速を図ることが重要。厚生労働省では、労使で十分に話し合って、使用者が適切に労務管理を行うとともに、労働者も安心して働くことのできる良質なテレワークの導入・実施を進めていくことができるよう、「これからのテレワークでの働き方に関する検討会」において議論を行われました。
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★特別休暇制度導入に向けて
「働き方・休み方改善ポータルサイト」では、企業の皆様が自社の社員の働き方・休み方の見直しや改善に役立つ情報を提供しており、このサイトから、「特別休暇制度導入事例集2020、ボランティア休暇制度周知リーフレット、裁判員休暇制度周知リーフレットを掲載しました」というお知らせがありました。特別な休暇制度(特に配慮を必要とする労働者に対する休暇制度)とは、休暇の目的や取得形態を労使による話し合いにおいて任意で設定できる法定外休暇を指します。
■====== 4; 広報・リーフレット ==============
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◆両立支援等助成金「子育てパパ支援助成金」
男性労働者が育児休業・育児目的休暇を取得しやすい職場風土作りの取り組みを行い、実際に利用させた事業主に対して助成されます。
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◆有期パート労働者対応事例集
有期雇用労働者・パートタイム雇用労働者の貢献と働きに見合った公正な待遇を実現できれば、労働者の納得性や働くモチベーションが高まることにより労働生産性が向上し、企業活動の活性化にもつながることが期待されます。
■====== 5; お役立ちアンサー ==============
==フリーランスに労働関係法令が適用されるケース==
フリーランス・副業・複業ワーカーの実態を調査した『フリーランス実態調査 2021』ランサーズによると、
広義のフリーランス人口(※)は労働人口の24%を占める1,670万人、そして経済規模は昨年比で約10兆円増加の28兆円となり、フリーランス人口とともに過去最大になったとのことです。
※「広義のフリーランス」:副業系すきまワーカー、複業系パラレルワーカー、 自由業系フリーワーカー、自営業系独立オーナーのこと
※『フリーランス実態調査 2021』⇒ https://www.lancers.co.jp/news/pr/20569/
フリーランスは個人の事業者として、基本的には労働関係法令の適用を受けず、独占禁止法や下請法などで保護されることになります。しかしながら、実態を考慮せずに「フリーランス」という文言のみで、労働者には当たらないと考えることは早計です。
この3月に、省庁横断的に検討し策定された「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」が公表されました。そこにはフリーランスの労働関係法令の適用について記載されています。以下にその抜粋・要約をご案内します。
●フリーランスに労働関係法令が適用される場合
・労働関係法令において「労働者」の概念は大きく分けて 「労働基準法」と「労働組合法」に規定されています。
・フリーランスなどの仕事の受注者が、請負などの契約で仕事 をする場合であっても、個々の発注者等との関係で、判断 基準に照らして労働基準法における「労働者」と認められる 場合には、当該発注者等との関係では、労働基準法の労働 時間や賃金などに関するルールが適用されることになります。
なお、労働安全衛生法、労働契約法等の個別的労働関係法令 も、基本的に労働基準法における「労働者」に該当する方に 適用されることになります。
・フリーランスなどの仕事の受注者が、発注者等との関係で、 労働組合法における「労働者」と認められる場合は、団体 交渉等について同法による保護を受けることができます。
●労働基準法における「労働者性」の判断基準
「労働者」を「事業または事務所に使用される者で、賃金を 支払われる者をいう」と規定しています。具体的には、以下 のような項目について確認し、判断することになります。
・「使用従属性」に関する判断基準
1.「指揮監督下の労働」であること
a.仕事の依頼、業務従事の指示等に対する諾否の自由の有無
b.業務遂行上の指揮監督の有無
c.拘束性の有無
d.代替性の有無(指揮監督関係を補強する要素)
2.「報酬の労務対償性」があること
・「労働者性」の判断を補強する要素
1.事業者性の有無
2.専属性の程度
●労働組合法における「労働者性」の判断要素
「労働者」を「賃金、給料その他これに準ずる収入によって 生活する者」と規定しています。具体的には、以下のような 判断要素を用いて総合的に判断することになります。
・基本的判断要素
1.事業組織への組み入れ
2.契約内容の一方的・定型的決定
3.報酬の労務対価性
・補充的判断要素
4.業務の依頼に応ずべき関係
5.広い意味での指揮監督下の労務提供、一定の時間的場所的拘束
・消極的判断要素
6.顕著な事業者性
※『フリーランスとして安心して働ける環境を整備するための
ガイドライン』(厚生労働省、内閣官房、公正取引委員会、中小企業庁)
⇒ https://www.mhlw.go.jp/content/11911500/000759477.pdf
これから、柔軟な働き方、多用な働き方が推進されていく流れのなかで、フリーランスとなる方がさらに増加する可能性は高いと言えます。そして、現在フリーランスの方との取り引きがなくとも、将来的につながりが生まれることもあるかもしれません。その際、適正な判断をするため、本記事を頭の片隅にでも置いておいていただければ幸いです。
2021年4月20日