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石川県 の 社会保険労務士 丹保から No.187
12月の初めから事務所のエアコンの効きが良くないと思いながらしばらくファンヒーターで寒さを凌いでいましたが、雪が降り始めて気温が一気に下がったのでエアコンの設定温度を上げようとしたら、故障のサインが出ていることに気がつきました。不動産屋さん経由で大家さんに修理をお願いして一月半以上が経過しても未だ工事が始まらず、まさか、高騰した灯油を使いながら寒い思いをしてエアコン以外に使うことの無い動力電源の基本料金をいつまでも負担することになるとは予想しませんでした。年末年始を挟んでいるとはいえ、こんなところでも日本の何か見えない大事なところがスローダウンしていることを実感しています。

■目次 >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
1 <<<<< ワンポイントクイズ;時間外労働の上限規制
2 <<<<< 今月のお知らせ ;人事労務戦略イノベーション
;ビジネス人権インパクト
;人を大切にする企業づくり
3 <<<<< 気になるニュース ;傷手と任継のQ&Aを公表
;電子帳簿保存法改定情報
;デジタル社会実現5原則
;グループ通算制度
;在籍型出向支援推進
;職場における労働衛生基準
4 <<<<< 広報・リーフレット;キャリアアップ賃金規定等改定
;病気療養のための休暇
;犯罪被害者等被害回復休暇
5 <<<<< お役立ちアンサー
■====== 1; ワンポイントクイズ ==========
Q: 時間外労働の罰則付き上限規制とは
A: (答えは巻末をご覧下さい)
■====== 2; 今月のお知らせ ==========
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●HRinnovations2022デジタル化が生み出す人事労務戦略イノベーション
日程:2022年2月2日13時~15時45分ライブ配信
主催:全国社会保険労務士会連合会
申込:https://events.nikkei.co.jp/44822/
With CORONAからBeyond CORONAへ
企業が、デジタル化という大きな変革に対応し、持続的成長を続けるための手がかりを発信します。労働力人口が減少する中で、デジタル化推進の先にある新しい働き方を、企業の活力につなげる人事労務戦略を、今、考え、行動するときがきました。急激に変化する時代を乗り越えるために、企業は、新たな課題に直面しています。デジタル化、グローバル、働き方改革の諸課題への対応。今、経営に不可欠な3つのテーマをもとに全国規模のオンライン・イベントを開催いたします。「人を大切にする企業」づくりから「人を大切にする社会」の実現へ社労士と一緒に考えてみませんか。
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●HRinnovations2022ビジネスと人権が企業に与えるインパクト
日程:2022年2月24日14時~16時35分ライブ配信
主催:全国社会保険労務士会連合会
申込:https://events.nikkei.co.jp/44833/
「人」を起点とする新しい経営の実現へ
強制労働や人権侵害に抵触する企業は、サプライチェーンから排除される。そんな国際社会の実現に向けて、国連や主要7カ国(G7)が動き出しました。本ウェビナーでは「ビジネスと人権」における国内外の情報を集めて提供するとともに、人事・労務の問題とながく向き合ってきた社労士として、グローバル社会における企業の在り方を提示します。急激に変化する時代を乗り越えるために、企業は、新たな課題に直面しています。デジタル化、グローバル、働き方改革の諸課題への対応。今、経営に不可欠な3つのテーマをもとに全国規模のオンライン・イベントを開催いたします。「人を大切にする企業」づくりから「人を大切にする社会」の実現へ社労士と一緒に考えてみませんか。
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●HRinnovations2022働き方の改革を通じた「人を大切にする企業」づくり
2022年3月4日13時~17時ライブ配信
主催:全国社会保険労務士会連合会
申込:https://www.sr-seminar.com/hrinnovations2022/hatarakikatakaikaku/
働き外のある職場と未来の社会づくり
新型コロナの感染拡大による社会や生活の変化により、「働くこと」への価値観が大きく変わっています。これからのBeyond CORONAの時代においては労働時間削減などに取り組む「働き方改革」にとどまらず、働き方そのものの革新を通じて、従業員の働きがいや生きがいを追求する人を大切にする企業づくりが強く求められています。「人を大切にする企業」づくりから「人を大切にする社会」の実現へ。社労士と一緒にいま為すべきことを考えていきましょう。急激に変化する時代を乗り越えるために、企業は、新たな課題に直面しています。デジタル化、グローバル、働き方改革の諸課題への対応。今、経営に不可欠な3つのテーマをもとに全国規模のオンライン・イベントを開催いたします。「人を大切にする企業」づくりから「人を大切にする社会」の実現へ社労士と一緒に考えてみませんか。
■====== 3; 気になるニュース ==========
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★傷病手当金及び任意継続被保険者制度の見直しに関するQ&Aを公表
令和3年の通常国会で成立した「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律(令和3年法律第66号)」については、令和3年6月11日に公布され、同日以降順次施行されることとされ、追って関係省令の公布に合わせて改正内容につき通知することとされています。それに伴い、厚生労働省から、保険局の新着の通知(令和3年11月15日掲載)として、「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律による健康保険法及び船員保険法改正内容の一部に関するQ&Aの送付について(令和3年11月10日事務連絡)」が公表されました。
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★電子帳簿保存法関連の改定情報について
厚令和3年度の税制改正において、「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律(以下「電子帳簿保存法」といいます。)」の改正などが行われました(令和4年1月1日から施行)。電子帳簿保存法上、電磁的記録による保存は、大きく、1電子帳簿等保存2スキャナ保存3電子取引、の3種類に区分されていますが、この3種類の区分について、それぞれ必要な改正が行われています。
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★デジタル臨時行政調査会がデジタル社会の実現に向けた5つの原則を策定
令和3年12月22日、首相官邸において「第2回 デジタル臨時行政調査会」が開催されました。今回の会議で、デジタル改革、規制改革、そして行政改革の共通指針として、デジタル社会の実現に向けた構造改革のための5つの原則が策定されています。政府は、この原則に沿って、「三方良し」の改革を進め、人手不足等の現場の課題の克服を促し、新しい資本主義実現に向けた成長を実現していくとしています。
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★連結納税制度に代わりグループ通算制度が適用されます
令和2年度税制改正により、「連結納税制度を見直しグループ通算制度へ移行」することとされました。これにより令和4年4月1日以後開始する事業年度から連結納税制度に代わりグループ通算制度が適用されます。これに伴い、連結親法人及び連結子法人で利用者識別番号をお持ちの法人(承認申請中の法人を含みます。)の方のメッセージボックスへ「【お知らせ】グループ通算制度がまもなく始まります!」を格納しているとのお知らせが公表されています。
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★在籍型出向支援の推進のため新たなリーフレットを公表
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、事業の一時的な縮小などを行う企業が、人手不足などの企業との間で「在籍型出向」を活用して従業員の雇用維持を図る取り組みがみられています。厚生労働省では、こうしたコロナ禍における雇用維持を目的とした在籍型出向の取り組みを支援するため、地域の関係機関等と連携することなどにより、出向情報やノウハウの共有、出向の送り出し企業や受け入れ企業の開拓などを推進しています。また、助成金(産業雇用安定助成金)を用意して、そのような在籍型出向を推進しており、新たなリーフレットと、ハンドブック(第2版)を公表し、さらなる周知を図っています。
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★職場における労働衛生基準が変わりました
令和3年12月1日に「事務所衛生基準規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令」が公布され、一部の規定を除き、同日から施行されています。この改正により、職場における一般的な労働衛生基準が見直されました。事務所における照明の基準のほか、事務所その他の作業場における清潔、休養などに関する労働衛生基準が改正されており、厚生労働省より「職場における労働衛生基準が変わりました~照度、便所、救急用具等に係る改正を行いました~」の、リーフレットが公表されています。
■====== 4; 広報・リーフレット ==========
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◆キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)
すべて、または一部の有期契約労働者等の基本給の賃金規定等を2%以上増額改定し、昇給させた事業主に対して助成されます。
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◆病気療養のための休暇
近年の医療技術の進歩により、これまでは治らないとされてきた疾病が治るようになる一方で、長期にわたる治療等が必要な疾病やメンタルヘルス上の問題を抱えながら、職場復帰を目指して治療を受ける労働者や、治療を受けながら就労する労働者の数が多数存在しています。こうした労働者をサポートするため、
・治療・通院のための時間単位や半日単位で取得できる休暇制度
・失効した年次有給休暇を積み立てて、病気等で長期療養する場合に使うことができる失効年休積立制度
・年次有給休暇とは別に使うことができる病気休暇
・療養中・療養後の負担を軽減する短時間勤務制度等を導入することの必要性が高まっています。
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◆犯罪被害者等の被害回復のための休暇
犯罪による被害は、命を奪われる、けがをする、物を盗まれるなどの生命、身体、財産上の直接的な被害だけではありません。 被害を軽減・回復するためには、犯罪被害者等の方々が仕事を続けられることが重要な意味を持っています。しかし、現状では、心身の不調による仕事の能率の低下や対人関係の支障、治療のための通院や裁判への出廷等のための欠勤、などにより仕事を続けたくても辞めざるを得ない状況に置かれることも少なくありません。直接的な被害の後生じる様々な問題は、総じて「二次的被害」といわれています。犯罪被害者等の方々が、仕事を続けられるようにするため、年次有給休暇だけではなく、被害回復のための休暇制度の導入が求められています。
■====== 5; お役立ちアンサー ==========
時間外労働の上限規制
2018年6月29日、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(働き方改革関連法)」が成立しました。これにより、労働基準法に罰則付き時間外労働の上限規制等の改正がなされ、36協定にも大きな影響があります。大企業の時間外労働の上限規制は2019年4月から、中小企業は2020年4月から適用となっています。
(1) 罰則付き時間外労働の上限規制
労働時間は、本来1日8時間、1週40時間を超えてはならず、超える場合でも月45時間、年360時間以内などに収めることが厚生労働大臣の告示レベルで求められていますが、特別条項に関する上限もないため、特別条項を適用すれば、時間外労働は「青天井」だと言われていました。そのため、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」において、基準告示で明示されていた時間外労働の規制の上限を明確にし、特例による青天井を年720時間に規制されることになったのです。
時間外労働の上限を、月に100時間未満、2~6か月平均で80時間未満、特別条項の適用は現行法通り6か月以内とし、上限規制に対する違反には罰則を設けるとされています。上限規制の罰則対象となる時間外労働は、「脳・心臓疾患と労災認定」の過労死ラインを基準にされています。
また、延長時間(限度時間)の単位について、現行法上は、1週間、2週間、4週間、2か月または3か月単位で定めることができますが、法改正後は、1か月の延長時間を必ず定めなければならないとされています。
これらの時間のカウントに休日労働を含むかどうか、注意が必要です。原則である月45時間、年360時間以内、また特別条項を適用した際の年720時間未満であるかどうかは、休日労働(週1回の法定休日)は含めずカウントします。一方、特別条項を適用した際の、月100時間未満や2~6か月平均80時間以下については、休日労働(週1回の法定休日)を含めてカウントします。例えば、毎週日曜日を法定休日とし、土曜日を所定休日としていた場合、土曜日に働いた分は時間外労働となり、日曜日に働いた分は休日労働となります。休日労働を含むか含まないかの管理を個々の労働者が行うには限界があるので、勤怠管理システムの導入が必要とされるでしょう。
■時間外労働の規制
期間一般労働者1年変形対象時間
1か月45時間 42時間 時間外労働
1年間360時間 320時間 時間外労働
1年間720時間 720時間 時間外労働
■時間外労働+休日労働の規制
期間 一般労働者 1年変形 対象時間
1か月 100時間未満 100時間未満 時間外労働+休日労働
2~6ヵ月 平均80時間以内 平均80時間以内時間外労働+休日労働
なお、中小企業への月60時間を越える時間外労働に関する割増率(50%以上)(猶予措置の廃止)については、適用を当初の予定から1年延期する方針を決めました。50%の割増率のうち、25%については割増賃金の代わりに代替休暇を付与することもできます。
(2) 適用除外となる事業・業務
適用除外の対象は下記の通りになります。
■適用除外
・新技術、新商品等の研究開発の業務(医師の面接指導、代替休暇の付与必要)
■一部適用除外
・工作物の建設等の事業(災害時の復旧および復興の事業に限る)(5年間の猶予期間有)
・自動車の運転の業務…上限時間:960時間(5年間の猶予期間有)
・医療に従事する医師(厚生労働省で定めるものに限る)(5年間の猶予期間有)
(3)届出様式の変更
「時間外労働の上限規制」に伴い、平成31年4月から「時間外労働・休日労働に関する協定届(36協定)」の様式が変更になります。「時間外労働・休日労働に関する協定届(36協定)」の新様式に関する主な変更点は、下記の通りです。
・1.特別条項を設ける場合は様式が2枚に
時間外労働が月45時間・年360時間に納まっている場合と、特別条項がある場合(時間外労働が月45時間を超える場合)とでは、様式が異なります。特別条項がある場合には、時間外労働が月45時間・年360時間に納まっている場合の届出様式(様式9号)に加え、特別条項にかかる部分を定めた2 枚目の様式(様式9号の2)が必要となります。
・2.チェックボックス欄の新設
「36協定で定める時間数にかかわらず、時間外労働及び休日労働を合算した時間数は、1箇月について100時間未満でなければならず、かつ2箇月から6箇月までを平均して80時間を超過しないこと。」というチェックボックス欄が設けられており、そこにチェックが入っていない場合は有効な協定届とはなりません。
・3.休日労働欄の変更
現行の様式では、所定休日と法定休日の区別がつきにくかったため、「所定休日(任意)」「労働させることができる法定休日の日数」「労働させることができる法定休日における始業及び終業の時刻」という表記に変更になります。
・4.労働者の健康及び福祉を確保する措置
特別条項を設ける場合に、「限度時間を超えて労働させる場合における手続」と「限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康および福祉を確保するための措置」の記入が必要となります。
【例】医師による面接指導、勤務間インターバル等
2022年1月20日