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石川県 の 社会保険労務士 丹保から No.188

確定申告の受付が始まりました。今年は期限の延長はないようです。パソコンで提出すれば控除があるということで、急いでデータを入力しているうちに、一部の入力が漏れたまま送信しました。慌てて取り消そうと思っても問い合わせ先が分からず、修正して再送信したら時間切れで受付されなくなってしまいました。やはりもう一度、平日の日中にやり直すのがよさそうです。

■目次 >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

1<<<<< ワンポイントクイズ;年次有給休暇の発生要件となる出勤率
2<<<<< 今月のお知らせ  ;SDGsと健康診断について研究会を開催
             ;「人を大切にする企業」づくり
             ;ビジネスと人権が企業に与えるインパクト
3<<<<< 気になるニュース ;雇用調整助成金の特例
             ;インボイス制度Q&A
             ;外国人雇用状況届出まとめ
             ;消費税インボイス制度
             ;令和3年度下請取引等実態調査公表
             ;事業復活支援金
             ;コロナ感染症の急拡大への対応
4<<<<< 広報・リーフレット;キャリアアップ助成金
             ;シフト制労働者の雇用管理
5<<<<< お役立ちアンサー

■====== 1; ワンポイントクイズ ==========

Q:年次有給休暇の発生要件となる出勤率とは
A:  (答えは巻末をご覧下さい)

■====== 2; 今月のお知らせ ===========

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●石川中央労務研究会第64回業務研究会

SDGsと健康診断について研究会を開催
日 時 令和4年3月19日(土)午後1時30分から4時30分まで
場 所 白山市松任学習センター(石川県白山市古城町305番地) 
テーマ 1.SDGsの概要~持続可能な開発目標について~
2.健康診断の実施と事後措置~健診結果の活用~
定 員 10人程度まで 
申 込 令和4年3月10日(木)まで
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●HRinnovations2022働き方の改革を通じた「人を大切にする企業」づくり

2022年3月4日13時~17時ライブ配信
主催:全国社会保険労務士会連合会
申込:https://www.sr-seminar.com/hrinnovations2022/hatarakikatakaikaku/
 働き外のある職場と未来の社会づくり
新型コロナの感染拡大による社会や生活の変化により、「働くこと」への価値観が大きく変わっています。これからのBeyond CORONAの時代においては労働時間削減などに取り組む「働き方改革」にとどまらず、働き方そのものの革新を通じて、従業員の働きがいや生きがいを追求する人を大切にする企業づくりが強く求められています。「人を大切にする企業」づくりから「人を大切にする社会」の実現へ。社労士と一緒にいま為すべきことを考えていきましょう。急激に変化する時代を乗り越えるために、企業は、新たな課題に直面しています。デジタル化、グローバル、働き方改革の諸課題への対応。今、経営に不可欠な3つのテーマをもとに全国規模のオンライン・イベントを開催いたします。「人を大切にする企業」づくりから「人を大切にする社会」の実現へ社労士と一緒に考えてみませんか。
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●HRinnovations2022ビジネスと人権が企業に与えるインパクト

日程:2022年2月24日14時~16時35分ライブ配信
主催:全国社会保険労務士会連合会
申込:https://events.nikkei.co.jp/44833/ 
 「人」を起点とする新しい経営の実現へ
強制労働や人権侵害に抵触する企業は、サプライチェーンから排除される。そんな国際社会の実現に向けて、国連や主要7カ国(G7)が動き出しました。本ウェビナーでは「ビジネスと人権」における国内外の情報を集めて提供するとともに、人事・労務の問題とながく向き合ってきた社労士として、グローバル社会における企業の在り方を提示します。急激に変化する時代を乗り越えるために、企業は、新たな課題に直面しています。デジタル化、グローバル、働き方改革の諸課題への対応。今、経営に不可欠な3つのテーマをもとに全国規模のオンライン・イベントを開催いたします。「人を大切にする企業」づくりから「人を大切にする社会」の実現へ社労士と一緒に考えてみませんか。

■====== 3; 気になるニュース ===========

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★緊急事態措置及びまん延防止等重点措置に係る雇用調整助成金の特例について

雇用調整助成金においては、緊急事態宣言の対象区域、又はまん延防止等重点措置を実施すべき区域の公示に伴い、緊急事態宣言の実施区域、又はまん延防止等重点措置の対象区域(職業安定局長が定める区域)において都道府県知事による営業時間の短縮等の要請等に協力する企業について、助成率を最大10/10、日額上限額を15,000円とする特例が設けられています。
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★免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関するQ&Aについて
 
令和5年10月より開始される消費税の適格請求書等保存方式(インボイス制度)に関し、事業者の方々から寄せられている質問、特に免税事業者やその取引先の対応に関する考え方を明らかにし、制度への理解を深め、必要な対応を検討いただく際に活用してもらうことを目的とし、「免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関するQ&A」が公表されています。
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★令和3年の外国人雇用状況の届出状況まとめが公表
 
厚生労働省から、令和3年10月末現在の「外国人雇用状況の届出状況まとめ」が公表されました。外国人雇用状況の届出制度は、労働施策総合推進法に基づき、外国人労働者の雇用管理の改善や再就職支援などを目的とし、すべての事業主に、外国人の雇入れ・離職時に、氏名、在留資格、在留期間などを確認し、厚生労働大臣(ハローワーク)へ届け出ることを義務付けるものです。届出の対象は、事業主に雇用される外国人労働者(特別永住者、在留資格「外交」・「公用」の者をく。)であり、今回の届出状況の数値は、令和3年10月末時点で事業主から提出のあった届出件数を集計したものです。
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★リーフレット「消費税 知っていますか?インボイス制度」を公表
 
令和5年10月1日からスタートする消費税のインボイス制度(適格請求書等保存方式)に向け、国税庁は、リーフレット「消費税 知っていますか?インボイス制度」をホームページに公表しています。インボイス(適格請求書)とは、売手が買手に対して正確な適用税率や消費税額等を伝えるもので、現行の区分記載請求書に「登録番号」、「適用税率」、「消費税額等」の記載が追加された書類やデータを指します。インボイス制度では、売手である登録事業者は、買手である取引相手(課税事業者)から求められたときはインボイスを交付し、写しを保存しなければならならず、また買手は仕入税額控除の適用を受けるために原則として取引相手(売手)である登録事業者から交付を受けたインボイスの保存等が必要となります。
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★「令和3年度下請取引等実態調査」の結果が公表
 
国土交通省及び中小企業庁では、建設業法の規定に基づき、建設工事における下請取引の適正化を図るため、下請取引等実態調査を毎年実施しています。この度、「令和3年度下請取引等実態調査」の結果が公表されました。その調査対象が令和2年10月1日~令和3年6月30日における取引となっているため、「著しく短い工期の禁止」などの新たなルールが創設された建設業法改正(令和2年10月1日施行)後初の調査結果となります。建設工事を下請負人に発注したことのある建設業者(12,427業者)が回答すべき調査項目について、指導対象となる29の調査項目に対し、全て適正回答(適正な取引を行っていると回答)だった適正回答業者率は10.8%であり、未だ多数の建設業者が適正な取引を行っていない状況は従来同様で、建設業の取引において重要な項目でも適正回答率は
低い状況です。
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★事業復活支援金について
 
事業復活支援金とは、新型コロナウイルス感染症により、大きな影響を受ける中堅・中小・小規模事業者、フリーランスを含む個人事業主に対して、事業規模に応じた給付金を支給するものです(法人には上限最大250万円、個人事業主には上限最大50万円を給付)。この事業復活支援金の案内が更新されました。
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★新型コロナウイルス感染症の感染急拡大が確認された場合の対応について
 
オミクロン株患者の濃厚接触者の待機期間については、最終曝露日(陽性者との接触等)から7日間とし、8日目に待機を解除し、当該濃厚接触者のうち、社会機能の維持のために必要な事業に従事する者について、各自治体の判断により、待機期間の7日を待たずに、4日目及び5日目の抗原定性検査キットを用いた検査で陰性確認できた場合でも、5日目に待機を解除する取扱を実施できること等の周知が更新されています。

■====== 4; 広報・リーフレット ==========

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◆キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)

すべて、または一部の有期契約労働者等の基本給の賃金規定等を2%以上増額改定し、昇給させた事業主に対して助成されます。
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◆「シフト制」労働者の雇用管理の留意事項

「シフト制」とは、労働契約の締結時点では労働日や労働時間を確定的に定めず、一定期間(1週間、1か月など)ごとに作成される勤務シフトなどで、初めて具体的な労働日や労働時間が確定するような勤務形態を指します。ただし、三交替勤務のような、年や月などの一定期間における労働日数や労働時間数は決まっていて、就業規則等に定められた勤務時間のパターンを組み合わせて勤務する形態は除きます。

■====== 5; お役立ちアンサー ==========

年次有給休暇の発生要件となる出勤率
 年次有給休暇は雇入れの日から起算して、6ヶ月間継続勤務し、全所定労働日の8割以上出勤した労働者に対して最低10日を与えなければなりません。
年次有給休暇は「出勤率」8割以上が発生要件となっており、出勤日÷全労働日≧80%であれば年次有給休暇が発生します。この場合の全労働日と出勤日の考え方が問題となります。全労働日とは、労働契約上労働義務が課されている日をいいます。具体的には、就業規則等で労働日とされた日ですから、就業規則等で定められている休日以外の日のことです。なお、休日出勤をさせた場合であっても、その日は元々休日でしたので全労働日には含まれません。また、出勤日とは全労働日のうち現実に就労した日のことです。この場合、労働日ごとに就労の有無を判断しますので、遅刻早退のように労働日の所定労働時間の一部しか就労しなかった場合であっても出勤として取り扱わなければなりません。出勤率の算定に当たっては、次のイ及びロの取扱に注意が必要です。
イ 全労働日から除外される日数
 1.使用者の責に帰すべき事由によって休業した日
 2.正当なストライキその他の正当な争議行為により労務が全くなされなかった日
 3.休日労働させた日
 4.法定外の休日等で就業規則等で休日とされる日等であって労働させた日
ロ 出勤したものと取り扱う日数
 1.業務上の負傷・疾病等により療養のため休業した日
 2.産前産後の女性が労働基準法第65条の規定により休業した日
 3.育児・介護休業法に基づき育児休業または介護休業した日
 4.年次有給休暇を取得した日
なお、慶弔休暇等の特別休暇を取得した場合の年次有給休暇の出勤率の算定については、
 1.労働義務を免除するものなので全労働日から除外する
 2.労働義務不履行の責任を問わないものとして欠勤とする
 3.出勤率の算定にあたっては、出勤したものとして取り扱う
のいずれかを企業ごとに定めておく必要があります。
 従業員から年次有給休暇の買い上げを要求された場合でも、休暇の買い上げは従業員が休暇取ったものとして取り扱うことを意味しますので、制度の趣旨から認められません。厚生労働省の通達によれば、買い上げの予約に基づいて請求しうる有給休暇を減らすことは、労働基準法第39条違反になるとされています。ただし、例外として、労働基準法で定められた日数以上の年次有給休暇を認めている場合に、その超えた部分を買い上げることや、時効や退職時に消滅した分を買い上げることは違反とはなりません。
 退職が決まっている従業員にまとめて年次有給休暇を請求された場合でも、原則的には断ることはできません。従業員には年次有給休暇の権利として「時季指定権」があります。年次有給休暇の使用目的に関しては従業員の自由であり、また、使用者が承認しなくても従業員が指定した時季に年次有給休暇を取ることができます。しかし、使用者側は、年次有給休暇の「時季変更権」を有しています。「時季変更権」とは、事業の正常な運営を妨げるような場合に限り時季を変更できる権利のことです。『事業の正常な運営を妨げる場合』とは、単なる主観的な判断ではなく、その会社の規模、職場の配置、業務内容、代行者の配置の難易等の事情を考慮して合理的に判断する必要があります。単に仕事が忙しいとの理由では変更できません。退職時に残っている年次有給休暇を一括して請求された場合ですが、たとえ『事業の正常な運営を妨げる場合』に該当したとしても、退職日が決まっており時季を変更する余地がありませんので拒否できません。業務の引き継ぎ等でどうしても働いてもらう必要がある場合は、従業員と話し合って退職日を変更してもらう、若しくは退職によって消滅した分の有給休暇の権利を買い上げることで理解をしてもらうことになります。

2022年2月20日