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石川県 の 社会保険労務士 丹保から No.204
人の手で繭から糸を紡ぐところを見学してきました。シルクワームと名付けられた地対艦ミサイルがありましたが、語源は蚕起食桑のカイコのことで、海を越えて飛んで来るものではなく、繭や蚕が護りを担うようなネーミングです。南の海から来たモスラもピーナツの繭を護っていた記憶があります。

■目次 >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
1 <<<<< ワンポイントクイズ
;業務命令としての部署異動や転勤
2 <<<<< 今月のお知らせ
;STOP!熱中症 クールワークキャンペーン
;労働契約解説セミナー2023
;中堅社員ステップアップ研修
3 <<<<< 気になるニュース
;令和5年度の算定基礎届の提出
; インボイス制度の実施に関連した注意事例
;就活ハラスメント防止対策企業事例集
;コロナ位置付変更に伴うテレワークの取扱い
;中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン
;労働政策審議会の資料が公表
;マイナンバーカードの情報誤登録の対処
;2025年卒学生のキャリア形成志向
;人手不足に陥っていない企業の施策
;男性の家事・育児休業等の実態
;副業への労働者の意識
;就活ハラスメント防止のためにできること
;「物流革新に向けた政策パッケージ」案
;公正な採用選考実施の基本的な取組み
;障害者差別のハローワーク相談が大幅減少
;労働者死傷病報告等の電子申請が原則義務化
4<<<<< 広報・リーフレット
;キャリアアップ助成金(正社員化コース)
;産業雇用安定助成金(事業再構築支援コース)
;生産性向上ヒント集
5<<<<< お役立ちアンサー
■====== 1; ワンポイントクイズ ===========
Q: 業務命令としての部署異動や転勤とは?
A: (答えは巻末をご覧下さい)
■====== 2; 今月のお知らせ ===========
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●STOP!熱中症 クールワークキャンペーン
職場での熱中症により毎年約20人が亡くなり約600人が4日以上仕事を休んでいます。死亡災害には、多くの事例で暑さ指数(WBGT)を把握せず、熱中症予防のための労働衛生教育を行っていませんでした。また、「休ませて様子を見ていたところ容態が急変した」、「倒れているところを発見された」など、熱中症発症時・緊急時の措置が適切になされていませんでした。
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●労働契約解説セミナー2023
労働契約法・労働基準法等、労働者の皆様が安心して働くために知っておくべき重要なルールや、労働者・使用者それぞれの権利・義務等をわかりやすく解説します。
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●中堅社員ステップアップ研修~中堅社員に期待されていること~
中堅社員としての立場・役割を認識し、課題解決のためのステップを学ぶことにより、プロフェッショナルとして仕事を進める足がかりを築き、中堅社員に求められる役割と上司を補佐するリーダーとして後輩を指導・支援するスキルを習得します。
日 時 令和5年6月22日(木)10時~17時15分
場 所 小松商工会議所305号室
主 催 小松商工会議所 石川県社会保険労務士会後援
受講料 5,000円(会員2,000円)
■====== 3; 気になるニュース ===========
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★令和5年度の算定基礎届の提出
日本年金機構から令和5年度の算定基礎届のご提出について事業主の皆様に向けてお知らせがありました。令和5年度の算定基礎届の提出期限は7月10日(月)です。これに伴い、6月中旬より順次様式等が送付される予定です。また関連して、令和5年度の算定基礎届事務講習会の開催の案内がされています。その他、令和5年度用の算定基礎届事務説明【動画】・ガイドブック等も公表されています。
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★公正取引委員会よりインボイス制度の実施に関連した注意事例が公表
公正取引委員会から、インボイス制度の実施に関連した注意事例が公表されています。これは、一部の発注事業者が、経過措置により一定の範囲で仕入税額控除が認められているにもかかわらず、取引先の免税事業者に対し、インボイス制度の実施後も課税事業者に転換せず、免税事業者を選択する場合には、消費税相当額を取引価格から引き下げると一方的に通告を行った事例がみられるなど、インボイス制度の実施に関連して、独占禁止法違反につながるおそれのある複数の事例が確認されています。
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★「就活ハラスメント防止対策:企業事例集」のパンフレット公表
職場における総合的なハラスメント対策のポータルサイト「あかるい職場応援団」から、ハラスメント関係資料ダウンロードページに「就活ハラスメント防止対策 企業事例集」のパンフレットを掲載したとの公表がありました。これは、就活ハラスメント防止に向け、採用担当者、リクルーター(OB・OG等)等を対象とした研修や就活ハラスメントに関する相談窓口の設置等に取り組む企業の先進事例をとりまとめたものです。
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★新型コロナの位置付け変更に伴うテレワークの取扱い
新型コロナウイルス感染症について、令和5年5月8日から感染症法上の位置付けが5類感染症へ変更されることや感染状況の変化等により、テレワークを実施していた企業においてテレワークの取扱いを変更する事案も見受けられます。テレワークは、感染症対策だけでなく、ワークライフバランスなど労働者と使用者双方にとって様々なメリットのある働き方であり、その取扱いについては労働者と使用者の間でよく話し合っていただくことが望ましいと考えられます。
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★中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)から、「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン(第3.1版)」が公表されました。このガイドラインは、情報セキュリティ対策に取り組む際の、1.経営者が認識し実施すべき指針、2.社内において対策を実践する際の手順や手法をまとめたものです。経営者編と実践編から構成されており、個人事業主、小規模事業者を含む中小企業の利用を想定したものとなっています。今回公表された第3.1版では、第3版(2019年3月)を公表して以降、テレワークの普及や、DX推進の両輪としての情報セキュリティ対策といった社会動向の変化などを踏まえ、具体的な対応策を盛り込むための改訂を行ったということです。
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★労働政策審議会の資料が公表
厚生労働省から、「第51回労働政策審議会」の資料が公表されました。今回の議題は、「令和5年度労働行政関係予算の主要施策」、「分科会及び部会等における審議状況、法案の国会審議状況」、「労働政策基本部会報告書」などについてです。それぞれ、その内容が分かりやすく整理された資料が提示されていますが、ここでは令和5年度労働行政関係予算の主要施策についてご紹介します。
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★マイナンバーカードの登録情報が誤っていた場合の対処
https://www.digital.go.jp/policies/mynumber/faq-insurance-card/
https://www.digital.go.jp/policies/mynumber/related-services-issue/
マイナンバーカードに紐付けされた情報に次々と誤りが見つかっています。健康保険証情報、公金受取口座情報、マイナポイントに関する情報、などに万が一誤った情報が登録されていることに気づいた場合の対処法が紹介されています。
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★2025年卒学生のキャリア形成志向~(株)学情のアンケート調査より
スカウト型就職サイトを運営する株式会社学情は、2025年卒学生を対象に「キャリア形成」をどのように考えているかのアンケート調査を行いました。調査内容は、以下の3点です。
(1) キャリア形成の志向
(2) 「ジョブ型」採用への興味の有無
(3) 「ジョブ型」のインターンシップへの興味の有無
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★人手不足に陥っていない企業はどういった施策をとっているか
総務省の統計では、2022年12月時点で、日本の15~64歳人口は前年同月比0.28%減、人数にすると20万8,000人も減っています。また、これから働く年齢になる15歳未満人口は同29万3,000人も減少しています。総人口の推移を見ると、2019年以降加速度的に減少しており、2023年5月時点の概算では、総人口は前年同月比57万人減となっています。新型コロナの5類移行を受け、多くの企業で人手不足感が高まるなか、不足していないという企業もあります。
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★男性の家事・育児休業等の実態は?~経団連のアンケート調査等から
日本経済団体連合会(経団連)から、「男性の家事・育児に関するアンケート調査結果」が公表されました。育児休業取得率、男性の育児休業期間、男性の家事・育児を促進する上での課題など、調査対象が経団連の会員である大規模企業でありサポートが手厚いことに留意する必要がありますが、育児休業取得率や取得期間の数字は大企業のほうが高いことがわかります。調査課題は中小企業でも参考になりそうです。
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★副業への労働者の意識
平成30年1月に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を策定(令和2年9月に改定)するなど、政府は副業・兼業(以下、「副業」という)を推進しており、企業にもそのための対応を求めているところです。では、実際、労働者の副業の実施状況や副業への意識はどのようになっているのでしょうか。
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★就活ハラスメント防止のためにできること
就活ハラスメントとは、「就職活動中やインターンシップ中の学生等に対するセクハラやパワハラ」のことを指します。具体的な行為として、性的な冗談やからかい、食事やデートへの執拗な誘いなどが挙げられるほか、学生が他社の選考を受けられないよう妨害したり、他社の内々定の辞退を迫ったりする、いわゆる「オワハラ(就活終われハラスメント)」も含まれます。決して許されない行為であることはもちろん、明るみに出れば企業も大きなダメージを受けることになります。
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★「物流革新に向けた政策パッケージ」案が公開
トラックドライバーの長時間労働が規制され、荷物の3割が届けられなくなるとも示唆される物流の2024年問題について関係閣僚会議で対策がまとめられました。大きく分けて(1)商慣行の見直し、(2)物流の効率化、(3)荷主・消費者の行動変容について、抜本的・総合的な対策を行うことで、荷主企業、物流事業者(運送・倉庫等)、一般消費者の3者が協力して物流を支える環境を整備することを目指しています。
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★公正な採用選考実施のための基本的な考え・取組み
日本労働組合総連合会は、採用選考における就職差別の実態を把握するための調査を実施しました。その結果、「採用試験の面接で、不適切だと思う質問や発言をされた」と回答した人が19.5%(例えば「女性だからどうせ辞める」など)、「本籍地や出生地に関すること」を質問されたと回答した人が28.3%に上るなどの実態がわかりました。厚生労働省は、事業主に対して求職者の基本的人権を尊重した差別のない公正な採用選考実施に向けての基本的な考え方や取組みについて案内しています。
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★障害者差別に関するハローワークへの相談が大幅に減少
厚生労働省は、都道府県労働局や公共職業安定所(ハローワーク)における「雇用の分野における障害者の差別禁止・合理的配慮の提供義務に係る相談等実績(令和4年度)」の取りまとめを公表しました。事業主による法令違反等事案に対しては、ハローワーク等が行う助言、指導または勧告により是正を図っています。障害のある労働者と事業主の話し合いによる自主的な解決が難しい場合は、関係当事者の申立て等に基づき、1.都道府県労働局長による助言、指導または勧告、または2.障害者雇用調停会議による調停により、紛争の早期解決を支援しています。
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★労働者死傷病報告等の電子申請が原則義務化されます
厚生労働省の労働政策審議会は、労働者死傷病報告等の電子申請を原則義務化とする、じん肺法施行規則等の一部を改正する省令案をまとめました。改正案は、労働者死傷病報告等の電子申請を義務化することで事業者の負担軽減や報告内容の適正化、統計処理の効率化を図ることができるとしています。施行は令和7年1月を予定しています。
■====== 4; 広報・リーフレット ===========
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◆キャリアアップ助成金(正社員化コース)
有期契約労働者等を正規雇用労働者や多様な正社員等に転換または直接雇用した事業主に対して助成されます。
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◆産業雇用安定助成金(事業再構築支援コース)
この助成金は、新型コロナウイルス感染症の影響等で事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主が、新たな事業への進出等の事業再構築を行うために、当該事業再構築に必要な新たな人材の円滑な受入れを支援するものです。
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◆生産性向上ヒント集
生産性を高めながら労働時間の削減や事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)の引上げ等に取り組む中小企業事業者等を対象に助成を行う「働き方改革推進支援助成金」・「業務改善助成金」の紹介をしています。また、本助成金の活用により、業務の効率化や働き方の見直しなどを実施して生産性向上を実現し、労働時間の削減や、賃金の引上げなどを行った事例を掲載しています。特に、助成金活用の背景やポイント、取組後の変化などを分かりやすくまとめています。
■====== 5; お役立ちアンサー ===========
業務命令として可能な部署異動や転勤とは?
会社は、業務上の必要性があれば、業務命令として部署異動や転勤を命じることが認められます。判例では、「労働契約は、労働者がその労働力の使用を包括的に使用者に委ねることを内容とするものであり、個々の具体的労働を直接約定するものではないから、使用者は労働者が給付すべき労働の種類、態様、場所等について、これを決定する権限を有するものであり、したがって使用者が業務上の必要から労働者に配置転換なり、転勤を命ずることは原則として許される」とされています。しかしながら、よりこの会社の権限を明確にするには、就業規則や個別の誓約書・念書で「会社は業務上の都合 により従業員に対し、配置転換、転勤を命ずることがあり、従業員は正当な理由の無い限り、当該業務命令を拒むことはできない」という趣旨の規程を設けておくべきです。逆に言えば、ある職種やある地域に限定した勤務をさせる場合、職種や地域の「限定的特約」を付加することで可能となります。例えば、「勤務地は東京本社とし、他の支社への異動はありません」などです。なお、労働条件通知書に記載する「就業の場所」は、労働契約直後の就業場所を定めたに過ぎませんので、「限定的特約」ではありません。労働契約法第3 条5 項では、「労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない。」としていますので、権利濫用とならないよう注意が必要です。