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No.205;備えが効いた酷暑の夏
まだ7月の半ばというのに豪雨のあとの酷暑で、身体が疲れる前に気持ちが萎えてしまいそうです。実は、これを察したわけではありませんが、早めにエアコンを取り換えたので、30度超えの日でも室内は快適で、これまで以上に気持ちよく昼寝ができるようになりました。
■目次 >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
1 <<<<< ワンポイントクイズ
;不良社員の懲戒処分
2 <<<<< 今月のお知らせ
;働き方改革推進支援オンラインセミナー
;緊急企画「卯辰山麓ウォーキングツァー」
;労働契約解説セミナー2023
3 <<<<< 気になるニュース
;改正職業安定法施行規則に募集時明示事項追加
;「令和4年度個別労働紛争解決制度の施行状況」を公表
;中小企業の挑戦を応援する5つの報告書及びガイドライン
;健保則等の一部改正を令和5年6月から施行
;下請法の運用状況及び中小事業者等の取引公正化
;デジタル人材の育成確保「関連資料」を更新
;性的少数者のトイレ使用制限を違法とする最高裁の初判断
;2023年春季生活闘争の最終回答集計が連合より発表
;永年勤続表彰金の社会保険・労働保険・課税上の取扱い
;精神障害に関する令和4年度「過労死等の労災補償状況」
;生成AIサービス利用時の注意点
;雇用関係助成金ポータルの対象助成金
;仕事と育児の両立支援で企業の半数が「業務に支障あり」
;ジェンダーギャップ指数(2023年) 日本は125位
4 <<<<< 広報・リーフレット
;働き方改革推進支援助成金(適用猶予業種等対応コース)
;わかりやすい助成金ガイドブック2023
;中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン
5 <<<<< お役立ちアンサー
■====== 1; ワンポイントクイズ ============
Q: 不良社員に対し懲戒処分できるとき?
A: (答えは巻末をご覧下さい)
■====== 2; 今月のお知らせ ===========
見出しの赤い文字をクリックして関連資料をご覧ください
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●厚生労働省委託オンラインセミナーのご案内
働き方改革の進路を見据える 2023 夏
~社員全員が活躍できる働きやすい職場を創る~
厚生労働省委託働き方改革推進支援セミナー
日 時:2023年8月8日(火)14:00~16:00
配 信:オンラインによるライブ配信
受講料:無料(事前申し込み制)
締 切:2023年8月3日(木)15時まで
主 催:全国社会保険労務士会連合会(共催:労働新聞社)
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●緊急企画「卯辰山麓ウォーキングツァー」開催
研究会のスピンアウト企画として、金沢むかい山の麓から浅野川のあたりを歩く「卯辰山麓ウォーキングツァー」“心のみち~東廓・主計町の風情~鏡花に触れる”を下記の通り開催いたします。
件 名 緊急企画「卯辰山麓ウォーキングツァー」
日 時 令和5年7月29日(土)9時00分から
場 所(集合 8時50分) JR西日本・北鉄バス「山の上」バス停⇒卯辰山山麓「心の径」⇒東茶屋街⇒梅の橋⇒白糸・友禅流し碑⇒久保市乙剣宮⇒主計町⇒竹の橋⇒橋場バス停(解散11時30分)
持 物 歩き易い靴や服装、雨具、日除け、冷たい飲み物、等
会 費 500円~ガイドさん謝金として
申 込 7月27日(木)迄にご連絡ください。
(緊急連絡用の携帯電話もお知らせください)
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●労働契約解説セミナー2023
労働契約法・労働基準法等、労働者の皆様が安心して働くために知っておくべき重要なルールや、労働者・使用者それぞれの権利・義務等をわかりやすく解説します。また、改正労働契約法の内容についても併せて周知を行うほか、「無期転換ルール」の導入を支援するため、無期転換制度の具体的な導入方法や、先行している企業の導入事例の紹介を行う。さらに、副業・兼業の現状や促進の方向性、労使それぞれの留意点と対応方法をまとめた「副業・兼業の促進に関するガイドライン」について周知を行います。
■====== 3; 気になるニュース ===========
見出しの赤い文字をクリックして関連資料をご覧ください
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★職業安定法施行規則が改正され募集時等の明示事項が追加
職業安定法施行規則が改正されました。求人企業・職業紹介事業者等が労働者の募集を行う場合・職業紹介を行う場合等には、募集する労働者の労働条件を明示することが必要ですが、令和6年4月1日からは、新たに次の事項についても明示することが必要となります。1:従事すべき業務の変更の範囲、2:就業の場所の変更の範囲、3:有期労働契約を更新する場合の基準に関する事項(通算契約期間又は更新回数の上限を含む)
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★「令和4年度個別労働紛争解決制度の施行状況」を公表
厚生労働省は、このたび「令和4年度個別労働紛争解決制度の施行状況」をまとめ公表しました。「個別労働紛争解決制度」は、個々の労働者と事業主との間の労働条件や職場環境などをめぐるトラブルを未然に防止し、迅速に解決を図るための制度で、「総合労働相談」、都道府県労働局長による「助言・指導」、紛争調整委員会による「あっせん」の3つの方法があります。今回の施行状況を受けて、厚生労働省は総合労働相談コーナーに寄せられる労働相談への適切な対応に努めるとともに、助言・指導およびあっせんの運用を的確に行うなど、引き続き、個別労働紛争の未然防止と迅速な解決に向けて取り組んでいくとのことです。
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★中小企業の挑戦を応援する5つの報告書及びガイドラインを公表
コロナ禍からの回復、人口減少、GX・DX等の構造転換が進む中、日本経済の更なる成長実現には、中小企業の成長が重要です。経済産業省は、成長に向けて挑戦する中小企業を応援する次の5つの報告書・ガイドラインを公表しています。
1.中小企業の成長経営の実現に向けた研究会 中間報告書、2.中小企業のイノベーションの在り方に関する有識者検討会 中間取りまとめ報告書、3.中小企業・小規模事業者人材活用ガイドライン、4.中小エクイティ・ファイナンス活用に向けたガバナンス・ガイダンス、5.経営力再構築伴走支援ガイドライン
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★健保則等の一部改正を令和5年6月1日から施行
「健康保険法施行規則等の一部を改正する省令(令和5年厚生労働省令第81号)が公布され、令和5年6月1日から施行されています。この改正省令は、「マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会」の中間とりまとめ(令和5年2月)において、保険者の迅速かつ正確なデータ登録への対応として、
・資格取得届への被保険者の個人番号等の記載義務を法令上明確化すること
・保険者は、事業主による届出から5日以内に被保険者等の資格情報等の登録
を行うこととされたことを踏まえ、健康保険法施行規則、船員保険法施行規則、国民健康保険法施行規則及び高齢者の医療の確保に関する法律施行規則について、所要の改正を行うものです。
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★令和4年度の下請法運用状況及び中小事業者等取引公正化に向けた取組
下請取引においては、親事業者の下請法違反行為により下請事業者が不利益を受けている場合であっても、その取引の性格から、下請事業者からの自発的な情報提供が期待しにくい実態にあります。このため、公正取引委員会では、親事業者及び当該親事業者と取引のある下請事業者を対象に定期的な調査を実施するなどして、下請事業者が親事業者の下請法違反被疑事実を情報提供しやすい環境整備に取り組むことにより、違反行為の発見のために積極的な情報収集に努めています。
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★デジタル人材の育成・確保「関連資料」が更新
デジタル庁では、デジタル社会の着実な実現のため、全ての国民が、それぞれのライフステージに応じて必要となるICTスキルを習得する環境を整備するとともに、社会のそれぞれの立場で求められる人材の確保・育成を図ることとしています。同庁のホームページにおいては、デジタル人材の育成・確保に関する専用のページも設けていますが、その関連資料が更新されています。
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★性的少数者のトイレ使用制限を違法とする最高裁の初判断
戸籍上は男性で性同一性障害の経済産業省職員に対するトイレの使用制限について、最高裁第3小法廷は国の対応を「裁量権の範囲を逸脱し違法」とし、制限を不当と判断しました。この制限は、女性トイレ使用に関する要望を受けて開かれた職員向け説明会でのやり取りを踏まえ経済産業省が決定したもので、下級審では判断が分かれていました。
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★2023年春闘は高水準~連合集計より
2023年の春季生活闘争(春闘)の最終回答集計が連合より発表されました。5,272組合の「定昇相当込み賃上げ計」は、加重平均で10,560円(3.58%)と、昨年と比べると4,556 円(1.51ポイント)増えています。上記のうち 300 人未満の中小組合3,823 組合は、8,021 円(3.23%)で、昨年比3,178 円(1.27ポイント)増える結果となりました。賃上げ分が明確に分かる 3,186 組合の「賃上げ分」は 5,983 円(2.12%)、うち中小組合 2,019 組合は 4,982 円(1.96%)となり、いずれも賃上げ分の集計が開始された2015年以降で最も高い結果となっています。有期・短時間・契約等労働者の賃上げ額は、加重平均で時給52.78 円(昨年比29.35 円増)、月給 6,828 円(同 2,831 円増)で、引上げ率は概算でそれぞれ 5.01%・3.18%となり、時給は一般組合員(平均賃金方式)を上回る結果になりました。
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★永年勤続表彰金の社会保険、労働保険および課税上の取扱い
事業主が長期勤続者に対して支給する「永年勤続表彰金」について「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」に「永年勤続表彰金については恩恵的に支給されるものとして原則として「報酬等」に該当しない。ただし、当該要件を一つでも満たさないことをもって直ちに「報酬等」と判断するのではなく、事業所に対し当該永年勤続表彰金の性質について、1表彰の目的、2表彰の基準、3支給の形態、を十分確認した上で、総合的に判断すること。」の問答が追加されました。なお、労働保険上の取扱いは、行政手引50502によると、「勤続年数に応じて支給される勤続褒賞金は、一般的には、賃金とは認められない。」とされています。課税上の取扱いは、国税庁タックスアンサーNo.2591によると、創業記念で支給する記念品や永年にわたって勤務している人の表彰に当たって支給する記念品などは、一定の要件を満たしていれば、給与として課税しなくてもよいことになっています。ただし、記念品の支給や旅行や観劇への招待費用の負担に代えて現金、商品券などを支給する場合には、その全額(商品券の場合は券面額)が給与として課税されます。
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★精神障害に関する労災補償状況~令和4年度「過労死等の労災補償状況」
厚生労働省が公表した令和4年度「過労死等の労災補償状況」によれば、仕事による強いストレスが原因で発病した精神障害の状況について、労災請求件数は2,683件で前年度比337件の増加、支給決定件数は710件で前年度比81件の増加となっています。この数はいずれも統計開始から過去最多となっています。業種別では医療・福祉、年齢別では40~49歳が最多、出来事の類型ではパワハラが最多になっています。
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★生成AIサービス利用時の注意点
https://www.jdla.org/document/#ai-guideline
https://www.ppc.go.jp/news/careful_information/230602_AI_utilize_alert/
目覚ましい発展を遂げるChatGPT等の生成AIサービスが話題です。生産性の向上などに寄与するとされている反面、法的な整備が追いついていない点も多く利用には注意も必要です。なかでも、個人情報や秘密情報の入力は避けるよう注意喚起されており、企業において使用ルールを定めることは必須となり、一般社団法人日本ディープラーニング協会からは利用ガイドラインのひな型が公開されています。個人情報保護委員会による「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」にも目を通し早めに対策を講じておきたいところです。
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★雇用関係助成金ポータルの対象助成金が増えました!
厚生労働省の雇用関係助成金については電子申請ができます。今年の4月から利用開始となった雇用関係助成金ポータルは、当初、キャリアアップ助成金(正社員化コース)とトライアル雇用助成金(一般トライアルコース)のみでしたが、6月より以下の助成金が新たに電子申請の対象となりました。労働移動支援助成金/中途採用等支援助成金/トライアル雇用助成金/地域雇用開発助成金/人材確保等支援助成金/通年雇用助成金/キャリアアップ助成金/両立支援等助成金/人材開発支援助成金
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★仕事と育児の両立支援で企業の半数が「業務に支障あり」
東京商工リサーチは、全国の企業を対象に「少子化対策」に関するアンケート調査を実施し、結果を公表しました。政府が進める少子化対策のうち、仕事と育児の両立支援について、企業の半数が「業務に支障が出る」と回答する結果となっています。調査はインターネットにより実施し、有効回答5,283社を集計、分析したものです。
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★ジェンダーギャップ指数(2023年) 日本は125位
https://www.gender.go.jp/policy/sokushin/sokushin.html
https://www.gender.go.jp/international/int_syogaikoku/int_shihyo/index.html
世界経済フォーラム(WEF)は、6月に2023年の各国における男女格差を数値化したジェンダーギャップ指数を発表、日本の総合スコアは0.647で昨年とほぼ横ばい、146カ国中125位(G7では最下位)でした。昨年より9つランクを落とし過去最低の順位となりました。なお、1位はアイスランドで総合スコアは0.912でした。ジェンダーギャップ指数は、男性に対する女性の割合を示しており、経済、教育、健康、政治の4つの分野のスコアをそれぞれ算出し、その平均値として0(完全不平等)から1(完全平等)で評価されます。
■====== 4; 広報・リーフレット ===========
見出しの赤い文字をクリックして関連資料をご覧ください
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◆働き方改革推進支援助成金(適用猶予業種等対応コース)
2024年4月1日から時間外労働の上限規制が適用される適用猶予業種等の中小企業事業主に対し、生産性を向上させ、時間外労働の削減、週休2日制の推進や医師の働き方改革推進に向けた環境整備に取り組む場合の経費の一部が助成されます。
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◆わかりやすい助成金ガイドブック2023
新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行して、いよいよ本格的に経済活動も活性化してきました。そして、感染症がまん延していた時期に急速に広がった「柔軟な働き方」「IT化」は、さらなる進展を見せようとしています。このような情勢下、本年度は仕事と育児の両立支援を含めた柔軟な働き方やITなどの従業員教育に関連した助成金に力が入っています。
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◆中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン
情報セキュリティ対策に取り組む際の(1)経営者が認識し実施すべき指針、(2)社内において対策を実践する際の手順や手法、をまとめたものです。新型コロナウイルス感染防止策によるテレワークの普及やDX 推進の両輪としての情報セキュリティ対策といった社会動向の変化などを踏まえ、具体的な対応策を盛り込むための改訂が行なわれています。
■====== 5; お役立ちアンサー ===========
企業秩序と懲戒処分
会社が従業員に行う懲戒処分について、従業員の企業秩序の違反行為に対し使用者によって課せられる一種の制裁罰であり労働関係上の不利益な措置とされています。企業秩序の違反行為に対する懲戒処分については、就業規則の相対的記載事項となっています。そのため、就業規則において一般的には、1譴責、2減給、3出勤停止、4降職降格、5諭旨解雇、6懲戒解雇などが挙げられています。判例においては、「企業秩序は、企業の存立と事業の円滑な運営の維持のために必要不可欠なものであり、企業は、この企業秩序を維持確保するため、これに必要な諸事項を規則でもって一般的に定め、あるいは具体的に労働者に指示、命令することができ、また、企業秩序に違反する行為があった場合には、その違反行為の内容、態様、程度等を明らかにして、乱された企業秩序の回復に必要な業務上の指示、命令を発し、又は違反者に対し制裁として懲戒処分を行うため、事実関係の調査をすることができることは、当然のことといわなければならない。」としています。懲戒処分を課す場合には、制裁の種類、制裁の根拠となる基準等を就業規則に定めておく必要があります。企業が労働者に懲戒処分を課すためには、就業規則に懲戒の種類と事由を明定しこれを周知する必要があると解されています。したがって、就業規則等に懲戒事由が定められていない企業は懲戒処分をすることができませんので、就業規則の作成義務のない使用者(労働者が常時10人未満)も、就業規則を作成し懲戒事由等を定めるメリットがあります。なお、私生活上の非違行為が企業秩序に違反したといえるかは別途検討する必要があります。