スモールトーク

お世話を超えて成年後見人

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 この夏の2か月ほどの間、「成年後見人研修」に参加してきました。社会保険労務士会で受講者を募集したところ受講申し込みが少なく研修が流れてはいけないということで、受講料を寄付するぐらいのつもりでの消極的な参加でした。参加してみると内容は自分にとってそれなりに身近なことでもあり、母親が高齢で介護施設のお世話になっているという日常の生活と重なるテーマも多く、最初に思ったよりも関心を持って受講することができました。
 成年後見制度とは、認知症・知的障害・精神障害などの理由から判断能力(事理弁識能力)の不十分な者を保護するため、不動産・預貯金などの財産管理や介護契約締結・遺産分割協議などが困難な場合にこれを支援し、また自分に不利益であることの判断ができず契約した場合にこれを保護する制度と説明されています。一定の場合に本人の行為能力を制限するとともに本人のために法律行為を行ないまたは本人による法律行為を助ける者を成年後見人として選任する制度で、成年後見人には本人の親族や法律・福祉の専門家などが家庭裁判所により選任されることになっています。高齢の認知症などを考えると、私の周りではまだまだ家族が同居していたり近隣にいて世話をしたり介護施設に入居していたり、裁判所から後見人の選任を受けるほどのこともない例が多いようです。ただ一方では、血縁的には近くないのに地理的に近いということで親族のお世話をしているうちに、お世話のレベルを超えた管理をせざるを得なくなってしまう例も珍しくはなくなったようです。また、身近な親族が要介護者本人や他の親族の了解もなく本人の資産を流用したり本人の年金や家賃を生活費に回したりするトラブルも聞くことがあります。どのような取り組みが相応しいのか考えるべきことは多いのですが、社会保険手続や労務管理代行という社労士業務とは別次元の業務として、社会から必要とされている専門家として準備をする時期にきたようです。

2013年8月1日