スモールトーク

お花畑でイモづくり

 6月のうちに梅雨明けのような天候が続いています。いい天気と言えば青い空に陽が輝いてそよ風が流れてくるような気候を想い浮かべ、湿気が雨の多い梅雨の時期はあまりよくない季節ということになっていますが、若葉が出揃って明るく冷んやりした雰囲気にしっとりと降る一日も悪くないと思っています。今年の梅雨はそんな風に落ち着いた日が少なく、6月の半ばを過ぎると気温がどんどんと上がってエアコンがないと危ない状態になってしまいました。これは、複数の低気圧が続けて日本海の沿岸を走って南から山越えの乾いた風が入ったこともあって、気温が上がるだけでなく湿度が低下して梅雨らしからぬ気候になったようです。こんな晴天続きの暑い中にイモの苗とネギの苗を買って植えてみました。母が介護施設に入居するようになって、初めのうちは施設の皆さんも一緒にトマトやナスの世話をしてもらっていたのが、だんだんと足が遠のき年ごとに草が伸びてきたので、草むしりだけしているより何か植えてみようということになり、砂地でも簡単にできるサツマイモと長ネギからスタートしたものです。苗を買ってから分かったことがあります。植え付ける前に、まず肥料を施すべきこと、次に土を耕すべきこと、そうしないと草をむしっただけの場所では私に買われた苗に気の毒でした。時間もなくやむを得ず、溝を掘って土を盛り上げ、萎びかけた苗を植えてから水を撒き、あとから鶏糞と堆肥を振り掛けて、何とか全ての苗が土の中に埋まりました。そして、問題はその後でした。雨らしい雨は一度だけ、ほとんど毎日のように日が照って風が吹いて、ネギの葉先が枯れたようになりイモの葉は砂をまぶしたまま萎れてしまいました。確かに言われた通り、砂地の作り物は草むしりが楽でも水やりは大変ということで、梅雨のさなかに連日の水遣りを欠かせなくなりました。施設で世話になっている母の様子を見るのを後回しにして、仕事前に実家に立ち寄ってゴム長に履き替え、水道の蛇口にホースをつないで水を撒き、ホースを片付け靴を履き替えて仕事場に向かうというだけの作業がいつまで続くのか。気温ががる前には水道の水が冷たくホースも固かったのが、この頃は柔らかいホースから出てくる水を頭から被りたいくらいに気持ちよく、水撒きの時間が次第に長くなっています。こうして水を撒きながら気になるのが草むしりで、植えたつもりがないのに沢山の草が伸びてきて色どりも考えたかのように花まで咲かせ、砂地が似合うハマヒルガオはお花畑のように領地を拡げてきました。

2022年6月28日