スモールトーク

かいもち半殺し

冬のスタッドレスタイヤから夏のノーマルタイヤへの交換時期は、例年、休日ということもあってお彼岸の時期と重なります。それで、タイヤ交換の合間に「かいもち」を食べて一息入れるのがちょうどいい作業パターンになっています。この「かいもち」というのは「おはぎ」「ぼたもち」のことを言うのですが、人によっては通じないことも多くなってしまったのは地域のせいなのでしょうか年齢のせいなのでしょうか。「かいもち」は一説では「粥餅〈カユモチ〉」に由来するとか或いは手で掻いて餅をつくったのだとか、確かに子どもの頃を思い出すと祖母を手伝ったときは餅米を蒸して杵で搗くのではなく炊いてからスリコギで捏ねていた記憶があります。いわゆる「半殺し」状態にしかならないのですが、綺麗な半殺し?状態にするためにうるち米を混ぜるということもあり、かつての「かいもち」の製法に関して今ではお彼岸のミステリーみたいになりました。この物騒な「半殺し」については餡子についての説もあって、こちらは分り易く、きれいにつぶれたこし餡に対して小豆の形が残った粒餡が「半殺し」とされるようです。
 餅や餡について、もう一つ、不思議なことがあります。それは、塩味のことです。赤飯にゴマや塩を振り掛けて食べるのと同じように、餅や餡に塩を加えると美味くなるのは当たり前と思っていたのですが、減塩志向からなのか自然志向なのか、塩味ない餅が多くなったような気がします。もしかしたら、お菓子屋の職人さんが作るのと餅屋のパートさんが作るのとで製法が異なっているのかもしれません。いずれにしても、正月でももちつきをして鏡餅を作ることもなく、お彼岸にもかいもちを作ることもなく、お店には沢山の餅が並んでいて、気が向けばいつでも買って食べることができるのは有り難いことです。

2012年4月13日