スモールトーク
じょんがらは津軽まで

いつもは参加することのなかった盆踊りですが、この夏は生ビールの販売で一晩ずっと踊りを眺めていました。盆踊りと言えば“じょんがら”です。室町時代から続くといわれるじょんがらは石川の中央域・手取川扇状地一帯を中心に広く踊られていて、能登地方の“ちょんがり”ともルーツがつながるとか。真偽は定かでないものの越後のゴゼ唄との関連もあるようで、明治時代に形成された津軽三味線まで含めると日本海沿岸の積雪地帯にじょんがらの唄と踊りと三味線が根を張っているようです。
子供の頃の墓参りを思い出すと、私は夜が早くて吹込みから生に代わる時間には寝てしまうのですが、二晩三晩とお盆の夜は明け方まで騒がしかったような気がします。少し勿体つけてか、唄も三味線も一度や二度の誘いでは櫓に上がらず、人が揃い夜が更けると次第に三味線はタイトに響き、締まった音にのせて歌い手のアドリブは冴え、ひと夏のサーキットだったようです。ピークを過ぎれば「アイツの三味線では歌わん」「自分の唄をもじるな」とか、「こんなこたじょんにねえ」と沸かせたり、騒ぎのうちにだんだんと人が減って次の晩です。今は商業化し観光化されないと幾晩も踊るのは難しいようですが、一夜の踊りとアドリブにまだまだ石川の村々にディープな伝統は続いています。
2013年9月4日