スモールトーク
てんば菜は春の吹き立ち
能美市のNPO心田開発の橋本先生から白菜の茎立を頂いて思い出しました。ずっと当たり前に思っていたことでも、気が付くといつの間にか当たり前でなくなっていることが多いものです。昨年の春に母親が入院して一年、退院してからは介護施設のお世話になっていて、自分で食事の準備をすることも十分ではなくなりました。これまでなら、母が「てんば菜」と呼んでいた吹立の漬物を春になると当たり前に食べていたのですが、今年はちょっと難しそうです。吹立は少し苦みがあり蕾ごと漬けると彩もあってお酒を合わせてみたくなります。子供の頃には明治生まれの祖母がこれに砂糖と醤油を足らしてお茶請にしていたのを懐かしく思います。漬物に砂糖はなくても、漬物の煮物は今もあります。干して塩漬けした吹立を煮こぼしてナンバで味を調えると旨くなるのですが、煮る時の臭いがきつくて家では簡単に作れません。これは居酒屋にあると嬉しいメニューです。
「吹き立ち菜」というのは加賀地方の野菜で、漬けても桶の中で花をつけるお転婆さんなので「てんば菜」と言われるようです。小松菜の一種と説明されたり、からし菜の仲間のようにも言われたり、幅があります。能登地方で中島菜と言われているのも似たようなものかと思うのですが、こちらは血圧の上昇を抑える働きがあるということで、菜飯でも美味しく食べることのできる高付加価値野菜です。
2013年3月31日