スモールトーク
アナログ最後の12時間
テレビ放送がアナログ波からデジタル波に移行することは、様々のメディアを使って何年も前から知らされていました。エコポイントが使えるうちにと欲張りな考えもあってテレビの受像機は少し早めに買い換えたのですが、パソコンに内蔵されたテレビはそのままアナログで残っていました。パソコンでテレビ放送を見るのはそんなに長い時間ではなく、ニュースの時間にタイトルだけ確認したりスポーツ番組の途中経過をチラッと見たりという程度で、無くても困ることはないはずだったのに、実際に映らなくなってしまうとどこか寂しい気がします。問題だったのは、地デジ化キャンペーンが強烈過ぎたのか、実家の母親が「もうすぐテレビが映らなくなる」「うちにも新しいテレビが要る」と騒ぎ始め、顔を合わせるたびにチラシや新聞記事の切抜きを見せられることでした。ひとり暮らしの家は市役所で対策済みだと説明しても納得しなかったのです。洗濯機を全自動に換えたら勝手が違って使えなくなってしまった母のこと、周囲の環境が変わると適応できないかもしれないと思って古いテレビをそのまま地デジチューナーに接続したところ、何も変わっていないと意識してしまったようです。大丈夫と言いながら自分も少し心配だったので、アナログ放送終了の当日午後、様子を見に行ったところ、ちゃんとテレビが映っていたので一安心しました。そして、パソコンのテレビ画面には「アナログ放送は終了しました」と映っていました。深夜で消えるというこの画像、気のせいか、天候のせいか、これまでよりずっと鮮明に映って見えました。
2011年8月6日