スモールトーク
カレンダーの先走り

温暖化のせいにしていいのか分かりませんが、これまでになく雨が少なく乾いた暑さの梅雨になって、夏至に日の暮れに一日の長さを感じました。白山に残る雪は例年の同じ時期と比べて明らかに少なく、夏の水は大丈夫だろうかと心配しながらも、植え付けが遅れたカボチャやネギに水遣りが欠かせない日が続きます。今年は梅雨入りが遅いだけでなく雨の降りも少なくお天気のいい週末が多かったこともあり、研究会のメンバーに付き合ってもらって、6月から7月にかけてわずか1ヶ月半ほどしかオープンする期間がない「白山高山植物園」まで一緒に行くことができました。自分の膝のコンディションからして、白山に登ってお花畑のあるあたりまで足を伸ばそうとすると、自力で下山できるかどうか考えると不安が大きく無理な気がします。そんなことを考えることのないこの高山植物園はお手頃でした。白山連峰を三ノ峰まで見渡す展望台の様になった駐車場から、足元にササユリやギンリョウソウが潜む遊歩道が設けられたブナ林を抜けて、ハクサンフウロやイブキトラノオそしてニッコウクスゲなど一斉に花を開く高山植物園に至るプチハイクはお天気に恵まれると思いがけず贅沢をした気分になります。この植物園、元々は桑畑として開発された土地だそうで、養蚕が廃れて桑の木も切り払われた跡地の見晴らしのよさもあり、この地に高山植物を植えることを考えたそうです。作家の高橋治さんや地元の人たち大学の植物学者など多くの人たちの想いと努力を積み重ね長い時間をかけて公開できるまでになったという説明でした。ご案内いただいたのは、この構想の立ち上げの初めから長く携わり今はNPOの事務局長をされている小高さんでした。気候変動が激しく絶滅も危惧される白山の高山植物を種子から採取して苗を育てて花を着けるまで、最初からうまく進んだわけでなく多くの失敗を重ね研究を続けた結果なのだそうです。そして何より自慢すべきは、日本ではこの白山の植生は屋久島に次ぐ豊かな植生を誇るもので、白山の植物を守り白山の豊かさを守ることに力を注ぐNPOの大きな意気込みを感じました。そして、昔から南加賀で「やま」といえば白山ですが、いま白山市はこの山と川を市民統合のシンボルとしての取り組みをすすめ、白山を囲む地域からそれぞれの魅力を引き出し、白山はジオパーク・エコパークの視点から世界に誇る山として私たちの価値観を引き揚げてくれるようです。