スモールトーク

キーワードはダイバシティ

ダイバシティ(多様性)が時代のキーワードになったようです。ワーク・ライフ・バランスが強調される労働環境の面だけでなく、生物多様性も企業のCRSとして取り組む傾向にあります。動植物の絶滅が進み月の様になった地球の対極にあるのが、人間が積極的に手を加えることで生態系が維持される里山だと評価されています。本来の植生を殆ど消滅させ、究極の自然破壊ともいうべき扇状地上の水田と砂丘地上の防風林との境界領域で暮らす私にとって、手入れが行き届いた古くからの「里山」には驚くほど豊かなイメージがあります。茸・山菜・木の実・狐・狸・鼬・雉・兎・熊・猪。ただ、イノシシやシカは脚が短く雪が苦手で積雪の多い地域には棲まないと聞いていました。ところが、かつてはキノコ採りもできたという粟津温泉あたりの里山は手入れが追い付かずヤブ状態になり、山中に道路が開通してからは遂にイノシシが出没し始めたそうです。イノシシやブタの仲間は鼻が利くので地中のタケノコを採るのが得意で、春になって人間が掘り出すころにタケノコは既に全滅という話です。従来はクマより珍しかったイノシシが一晩に二頭も獲れたといって里山の恵みと喜べません。ザリガニが増えてメダカやタニシやホタルがいなくなった水辺と同じ様に、緑が豊かに見える里山にも入ってみないと気がつかないような大きな変化が起こっていたようです。

2011年1月16日