スモールトーク
デフレスーツ
新しくスーツを買いました。久し振りです。ショッピングセンターで試着してみると、吊るしのスーツが不思議なほどフィットする体になっていました。裾直し・ネーム入れも含めて一万円を割る価格も驚きでした。思えば、就職してすぐの頃、クールビズもなくスーツとネクタイで給料の半分ほどが消えました。比べ様もない価格の低下です。ちょうどいいところに自分の体型が落ち着いたこともありますが、不況の中では有り難くも恐るべきコストダウンです。このスーツ、材料のウールは国内生産でなく、縫製も海外のようです。販売もセルフに近く人手が掛かっていません。デフレ宣言を待つまでもなく、スパイラルに巻き込まれていました。必要なものを手に入れたのは確かですが、身近な人達には何の関わりもなく商品だけが運ばれてきた感じがします。上等の生地をオーダーで仕立てればデフレスパイラルを断ち切ることになるのかも知れません。でも、作業服代わりだと選択肢から外れます。これが自分にとってのグローバリズムなのかと思うと説明のつくことが多くあります。海を越え国境を越え輸入された多くの商品、誰が作ったのか分からない服を着て、誰が作ったのか分からないものを食べ、自分では何のメンテナンスもできないパソコンや自動車を頼りに生活しています。家を建てた大工さん、米や野菜が採れた畑、卵を産んだ鶏のいる小屋、そんなことの分かる世界ではなくなりました。
2009年12月1日