スモールトーク

住み終えた家の始末

住宅について聞いたり考えたりする機会が多くなりました。新しく住宅を建てるというよりも、今ある住宅をどうやって長く使い続けるかということに話題の中心があります。高齢化社会という時代環境のなかで、数だけだと住宅は余ってきて、住む人のいない住宅は空家対策として行政からも大きな問題になってきています。自分の生まれ育った家を空き家というのは忍びないのですが、実家に一人で住んでいた母がグループホームに入居してしまうとそこで生活する者は誰も居なくなり、月に何度か様子を見に帰る程度では実質的に空き家とされても仕方ありません。長く住んだ家なので近隣の方の多くからはお世話をしてもらえても、中には知らぬ間に非道をはたらく族も現れます。住み終わった後の住宅の始末を考えることも大切なことだと分りました。長生きした分だけ耐用年数を超えていて傷みも多く、古い家の修理は何処から手をつけていいか分らず、この先いつまで使うかも見通せない建物をどこまで手を入れるべきか迷います。実家とはいえ自分の家でもないのに勝手なこともできませんので、母が帰ることのできる場所として暫く維持していくしかないと思っています。
 住宅を長く使い続けるには早めのメンテナンスが欠かせないそうです。そして、住宅のメンテナンスにはそれなりの費用が必要なのですが、その道の専門家といわれるファイナンシャルプランナーに相談しても、新築やローン返済は人生のイベントとして認識されているのに住宅メンテナンスは考えに入らないことのようです。メンテナンスを怠ると後になって大きな費用が発生することを避けられず、収入が限定的になる高齢期に突然の修繕が必要になると、ここから老後貧乏・下流老人への道が開かれないとも限りません。通常に必要とされる住宅のメンテナンスは水周りと外装と基礎の三点で、これに加えて長く住み続けるためには介護などを前提にライフスタイルの変化も考えに入れたメンテナンスにより生活の質を保つことができるそうです。問題はその資金をどこで賄うのかという点ですが、二世帯三世帯の同居でなければリバースモルゲージというローンの仕組を利用することも可能で、自分が生活している住宅に抵当権を設定して融資を受けて住み続け、返済ができなくても最後は抵当権を実行することで金融機関も納得できる仕組があります。資産価値の高い住宅なら十分な融資を受けられますし、そのような住宅なら売却した資金でライフステージに相応しい家に住み替えることもできます。

2015年12月31日