スモールトーク

前線通過

「海は機嫌のいい時だけ人の相手をしてくれる」といいます。海も人も機嫌の良し悪しを見極めるのは難しく、屋外での気象の変化には気を抜けません。ここしばらく海に出る機会が少なく、ヨット試乗会ということで久し振りに海洋センターへ出掛けてみました。梅雨明けが遅く前日の雨も残っていて人の出足が悪く、様子を見ながらのんびり準備を始めて正午前ころには受付体制が整ったのですが、沖を眺めると遠い空を区切るように暗い雲が拡がっていました。ポツポツと降り始め、試乗者が集まる頃には上空に雲が迫って冷たいスコールが一気に海岸を白い飛沫で覆いました。渚の受付テントは煽られて押え切れずなんとか脚を畳んでその場をしのぎました。前線の通過だったようです。雨が止むと風まで落ちてしまって波だけが残りました。風がなくては艇は走らないので海上を戻るのは無理ということで、艇はみんなで陸上を運ぶことになりました。
 昨シーズンからずっと自分の艇を出していないので、何とか一度だけでも今シーズンは海に出たいと思います。このシーズン中に人間の相手をしてくれるほど機嫌のいい海に出会えるのはあと何日あるか分かりません。動かしてから二日後に筋肉痛がやってくる自分の体の心配をしながらいつまでも梅雨の明けない今年の夏も折り返し点に来たようです。

2009年8月1日