スモールトーク
千代女の松任まち巡り

新しい年のカレンダーが届くようになり、平成の年号が数カ月で終わることにだんだんとリアリティを感じるようになりました。また、新天皇即位の皇位継承式典により祝日が増えて、ゴールデンウイークは4月27日から5月6日までの10連休ということにもなるようです。平成の年号になって間もなくいま住んでいる家に引っ越したので、木々の成長や草花の移り変わり、台風や大雪や屋根の修理や物置の建替やら、ほぼ時代と並行して今の土地での時間が進んでいます。これを振り返ってみれば、これまでの人生の半分ちかくを過ごした土地なのに余り詳しく知らずに暮らしています。仕事場と距離があることも一つで、近場のレストランや料理屋さんなど今も探検しているレベルです。そんな状態なのに、旧松任町内の案内役を引き受けてしましました。定期的に開催している研究会のスピーカーとして何かできないかJAL財団の知人に相談したところ、松任で俳句の話をするのなら他の予定を後に回してでも行きたいと返事をもらったのです。折角なので、松任の俳人として著名な加賀の千代女にゆかりの場所など少し巡ってみようということなのですが、ゆっくりと町内を歩いたこともなく、食事やトイレなどどこに何があるやらも知らず慌てて調べながら下見をしています。まずはベースになりそうなのがJR松任駅前にある「千代女の里俳句館」、駐車場がなくてちょっと不便ですが、すぐ近くにある立体駐車場が使えるので、歩いて廻るにはとてもいい場所のようです。その前に、商店街の中に在る「千代女遺芳館」は聖興寺に隣接し、古く千代女を偲ぶ町の人により建てられた千代尼塚には辞世の句が刻まれていて、千代尼堂や草風庵もあり千代女を語るにここは欠かせないところです。ほか、「おかりや公園」として親しまれている松任城址や松任金剣宮には句碑や歌碑が据えられており、字句を読む人には関心を持ってもらえるはずです。あと、時間あれば泉鏡花ゆかりの摩耶夫人像を安置する行善寺や十億の母を詠んだ暁烏敏の生誕の明達寺なども候補にしています。これで半日はかかるので、お昼ご飯をどうしようか、荒れた日だとどうしようか、俳句館併設の美術館・博物館はどうしようか、まだまだ課題が残っています。
2018年12月1日