スモールトーク

南下の夢

 事務所がJR小松駅の近くに移転して3年目になります。駅に近い事務所でも、仕事がら普段の移動は全て自動車で、スタッフの通勤も自家用車です。たまには鉄道にも乗ってみたくなり、福井まで出る用事をつくって越美北線に乗り換え、大野から終点の九頭竜湖まで足を延ばしてみました。小松から福井は北陸本線で、サンダーバードだと通過するだけの駅に一つずつ停車し、沿線の市町村は合併して名前が変わっても、駅名の多くはずっと変わらず残っていることに何となく安心します。動橋あたりから石川福井県境の大聖寺、牛ノ谷、細呂木、と乗客が少なくなって、そのあと少し混んできたところで福井駅に到着です。福井と言えば越前ガニと三方梅、そしてソースかつ丼におろし蕎麦です。まだやっているのかどうか駅ホームの今庄そばを気にしながら、駅構内のお店でソースかつ丼とおろし蕎麦のセットメニューを食べてしまいました。満腹で乗った二両編成のディーゼル車が越美北線を走ります。遥か岐阜からの越美南線と結ぶ計画は長い夢のまま九頭竜湖駅で終わるようです。福井駅を発ってしばらく本線と並行し、花堂駅から南下し始めると架線がないので視界が広がって見えます。この日は積雪が多いせいかワンマン表示の車両にも乗務員が二人乗り込み、五分ほどの間隔でここまめに各駅で停車しながら賑やかな警笛のサービス付でした。大野駅を過ぎると車内がひときわ寂しくなり、窓から見える積雪はトンネルを出るたびに深まって、その雪の中に埋まったホームの除雪と整備の様子からこの鉄道が大切にされていることが窺えました。同じ車両で引き返さないと日が暮れるので、乾燥舞茸をお土産にして急いで車輌に戻りました。

2015年3月1日