スモールトーク

取り残された部屋

 この春から長引くコロナ感染対策で、雇用調整助成金や緊急雇用安定助成金など社会保険労務士事務所として後ろ向きと感じる業務に手こずってしまい、昨年から少しずつ取り組んでいる「働き方改革」にかかわる業務の多くが後回しになっています。令和2年も半分が過ぎてしまったことを考えると、そろそろ前向きの仕事に取り組まなくては何の進歩もないまま一年が終わりそうな気がしてきました。周りを見ると、感染予防のため活動を制限されたり行動を自粛したりするだけでなく、通勤による感染リスクを避けて積極的にテレワークに取り組む人がいたり或いはクラウドを利用したネット会議でコミュニケーションを向上させながら有効な時間を作り出す人がいたり、僅かの時間で私たちの働く環境が随分と変わっているようです。また、このような働き方を好ましいと考えこのような働き方をしたいと望む人が増えているようですし、一方では立場の違う色々な人のいる職場でお互いに顔を会わせて一つずつ話をしながら仕事を進めないと不十分と感じる人もいるようです。自宅などでの労働時間管理やOJTよる人材育成などにも課題が見えてきました。私たちの事務所の業務の内容からすると、基本的にはパソコンで作業できることが多い一方で個人情報を含むものが殆どであるため、セキュリティさえしっかりと確立できればテレワークを実施することに大きな障害はないと考えていました。実際にできるのかと考えてみたら、コロナ感染対策で多くの学校や企業が休校休業して普段より自宅にいる家族が多く、自宅で仕事をするスペースを確保することも大変ですが休んでいる家族と異質の時間を作り出すことが難しいことが見えてきました。自宅で開業している同業の社会保険労務士の人の中には、自分だけの仕事部屋を確保して仕事時間中には内から鍵をかけて子供が入ってこないようにするなど、助成金とは関係ありませんが仕事を進めるためにそれなりの経験的な対応を身に着けた人もいます。また、これまでなら単身赴任が当然と思うようなケースでも、遠距離からテレワークが可能だと考える人がいたりもします。ワークライフバランスの切り札のように言われ、従業員にメリットが大きいかのように思っていたテレワークには大きな負担も伴っていると感じました。では、この負担のすべてを企業が面倒を見ることができるのかと考えるとこれは難しいようです。

2020年6月28日