スモールトーク

味噌まんじゅう

昨年も晩秋に門前を訪ね、その時は観光イベントで新ソバを食べてから総持寺の修行僧の善哉と朝粥も食べてきました。能登沖の地震が発生したのはそれから半年も経たない三月下旬の日曜日の朝、ちょうど艇庫から船を出し春先の準備をしようと相川の浜に向かう時のことでした。記録的な強度の地震から8ヶ月が過ぎ、ようやく有料道路も全線が復旧したとのことで、久し振りに能登の風にあたってきました。沖には白波が跳び渚には巻波が寄せる外浦を眺めながら門前の町に入ると、雲間から低く差し込む師走の陽の光はまだ工事の終わらない家屋の残る町並みを優しく包んでいました。しかし、既に輪島市に併合された元からの過疎地に人影は少なく、門前高校の生徒達よりほか冬場の観光客が僅かに目に入るぐらいでした。そのうち、だんだんと空が暗くなり木の葉が舞い始めると、天気予報の通りに一気に時雨れてアラレまで混じってきました。今度は美味しい魚を食べて温泉で一泊したいものだと思いながら、帰り道で味噌まんじゅうをお土産にして初冬の能登を後にした一日でした。

2007年12月4日