スモールトーク
品種不明の野菜は鳥達の餌に

自分の生まれ育った土地でありながら、そこに一体いつごろ何を植えてどうやって育てるものなのか、種子や苗を何処から買ってきていいのかさえよく分りません。草むしりもろくにせずに一年が経ってしまいました。ずっと昔は織物工場がたっていたという家の裏に父親が柿木など何本か植えて空いた場所に花など育てていたのですが、菊の花などに虫がついても気づかなくなった母親は次第に野菜にシフトしてナスやトマトを植えていたようです。海岸に近くサラサラとした砂地の肥えた土地でないため、子供の頃は浜に続く道を歩くと防風の松林で守られた場所にブドウやサツマイモを栽培していたことを覚えています。それで、まずはサツマイモと考えて苗を探しにJAに行った時期は既に遅く、ホームセンターで3品種ほど残っていた苗を買いました。品種の違いは分りません。あわせて、残っていたトマトの苗とネギの苗も買いました。トマトの品種も分らず、ミニトマトではない「普通のトマト」が自分なりの選定基準になりました。ネギは「根深」。ナスの苗も探したのですが、たくさん残っているのに何故か枯れ枝のように葉っぱが茶色くカリカリの苗ばかりで諦めました。キウリやカボチャは育ち過ぎると手に負えないという母親の言い付けを守って植えていません。少し悩んだのがマメでした。 「ダラマメ」という名前からして放って置いても勝手に実をつけそうな千石豆なら簡単かと思っていたのですが、いつ植えるのか分らないうちに梅雨になり、ここは「虫が着く」と顔をしかめる母親の忠告を受け入れることにして、これも植え付け中止です。そして、今までのところ収穫はほとんど有りません。水遣りができないため、ネギは枯れ、トマトは枝が折れて実が割れて鳥達の餌場になりました。植えただけで一度も肥料をやっていないサツマイモは葉をつけているものの、砂の中にイモが育っているのかどうか、掘り起こす時期も分りません。収穫時期も気になりますが、大根・葱・白菜など冬の野菜の植え付け時期も気になります。そのうえ、今頃と言われますが、夏の野菜を抜かないと冬の野菜を植える場所が無いということが分ってきたのです。花作りや野菜作りに夢中になる人たちが深みにはまっていく訳が少し分ってきたような気がします。いくら無駄が多くても草むしりだけより楽しいことは想像していた通りでした。
2015年9月1日