スモールトーク

城下町の城址めぐり

 ワクチン接種の効果が少し顕われたのかコロナ感染防止対策として採らせていた行動制限が緩和され、通勤の時間帯などひと頃よりも車が増えて道路が混んできたような気がします。私自身はまだコロナが怖くて縮んだままなのですが、この年末年始に向けて忘年会や新年会のことが話題に上がるようにもなってきました。ワクチン接種を受けていない人も私の周りに居ることですので、これからもまだ暫らくはアルコールを伴う会合に参加するのは控えるとして、人と人が顔を合わせる機会は大事にしていきたいと考えています。そこで、という訳ではありませんが、先日の土曜日に屋外イベントを企画しました。これまでも労務の領域にこだわらない研究会活動として講師にお話し頂いた後に懇親会を開いたり、たまに軽めのウォーキングを兼ねた街歩きをしたりしていて、今回もこの流れで大聖寺城址に登城するということになりました。研究会で講師もお願いしたことのある能宮さんが大聖寺文化協会の事務局長をお勤めになっていることもあり、準備もガイドも全面的に能宮さんのお世話になって開催することができました。面白かったのは、大聖寺の支店に勤めていたとか、大聖寺の高校に通学していたとか、最近まで大聖寺に住んでいたとか、錆びゆく町と言いながら懐かしさを伴う町のようで、歩きながらの話では県外在住の方からも参加の打診があったということも聞きました。「古地図で歩ける城下町」として170年前の町割り図を活かした街歩きマップなど面白そうですが、今回は大聖寺城址への登城がメインでした。この大聖寺城は水陸交通の要衝で越前と加賀の国境に近い軍事拠点として何度も合戦の舞台となり、関ヶ原合戦の際には前哨戦として豊臣方城主山口玄蕃が徳川方前田利長軍に攻められ降伏を申し出るも許されず落城、敗れた山口玄蕃は今も大聖寺の町では讃えられているそうです。実戦はここまでで、その後に城は取り壊されて大聖寺藩創設に際し藩領として一般人の入山が禁じられ、幕末には贋金づくりの舞台にもなったという説明を聞きました。ゆっくりと城山をひと巡りしてから、この秋に公開された「鴻玉荘」も案内してもらいました。元は地元の大同工業社長・初代加賀市長の新家熊吉氏の邸宅で、仕事のない職人たちを救うため建てられた客座敷では若き本田宗一郎氏らをもてなしたのだそうです。昼食も個別の僅か半日でしたが、茶室や能楽堂が馴染む城下町のプライドを感じることができました。この週末には寺院群の寺々で寺宝展が予定されているそうです。暖かいものが美味しい季節、インフルエンザのワクチンも忘れず、秋を楽しむ時間を大事にしたいと思います。

2021年10月28日