スモールトーク

強制された自己責任

公的年金資産の流用や公的年金記録の不備などなどが問題にされる中で、選挙対策ということもあるのか、既に解体の決った社会保険庁が集中的に叩かれています。現業を担当する社会保険庁が批判されるのは当然のことですが、全ての責任を社会保険庁に背負わせることで国の中枢の責任回避を図っているようにも見えます。社会保険庁職員に対する自主的賞与返納要求などは“いじめ”の構造とも映ります。返納により罪を認めさせることで他の官庁の責を赦すようでは困ります。年金資産の流用が組織的横領でないなら、国の本来的財政の何かを穴埋めして予算が浮くのですから、そんなを仕掛けを押し付け許容した側の責任を問わないことが不思議です。
 「社会保険は強制された自己責任」と考えています。社会保険制度は傷病や老齢・障害などのリスクを分かち合う意味で助け合いですが、集金と配分だけのシステムではありません。お上からの恩恵でなく、抽象的な人権でなく、支払った保険料に基づいて給付を受けるという具体的な財産権として意識すべきです。その場の財政の都合や政治の流れで安易に操作されることのない「保険協会」「年金機構」として再出発することを期待しています。

2007年8月1日