スモールトーク

悪意のミサイル攻撃と国民の保護

 昨年の秋、研究会の席でパンデミックについて話を聞く機会がありました。続いて、年末には国民保護法についての話を聞くことができました。地震や津波あるいは豪雨や洪水などの自然災害、そして大規模な火災や海難事故、さらには武力攻撃や大規模テロから身を守るため、ひとり一人がどのように行動し企業や団体がどのような協力を期待されているのか、思いのほか準備が進んでいることが分りました。日本海に面した地域に暮らす者として、西を眺めると航空自衛隊小松基地、福井石油備蓄基地、美浜・大飯・高浜・敦賀などの原子力発電所、海上自衛隊舞鶴基地など、対岸からのミサイル攻撃の標的になって欲しくない施設が連なっています。弾道ミサイルが発射された際には「Jアラート」により携帯電話会社からの緊急速報メールと地方公共団体からの防災行政無線の音声で伝達され、「エムネット」により放送事業者等に発射と避難についての情報が流されるそうです。僅かの時間で落下する可能性があり、まずは、速やかな避難行動が求められます。Jアラートが作動したら、屋外にいる場合は近くの建物の中か地下に避難、建物がなければ物陰に身を隠すか地面に伏せ頭部を守る、屋内なら窓から離れるか窓のない部屋に移動する、というのがマニュアルです。近くに着弾したら、口と鼻をハンカチで覆い風上へ移動するとか換気扇を止めて室内を密閉するとか、普段から意識を高めておかないと対応を思いつかないようなこともありました。このような事態に対処し住民の生命・財産を守る仕組として平成16年には国民保護法が施行され、避難情報伝達・救援資材提供・災害救助など住民避難訓練も実施されているということでした。武力攻撃などに対処し侵害を排除することは自衛隊の活動ですが、武力攻撃等により発生した事象への対処が国民保護の対象であり、自然災害等を想定した市町村による自治としての防災上の避難勧告・指示に対し、更なる警戒を要する悪意ある相手からの武力攻撃を対象に国が主体となって避難・救援に対応するのが国民保護の領域であり、救援・救助など国民保護の実施に協力を要請されたときに「国民は必要な協力をするよう努める」とされています。

2018年1月10日