スモールトーク

手取川ジオパーク

 自分が住んでいる土地のことをガイドさんから説明してもらうのは、思いのほか新鮮に聞こえるものでした。源流から河口まで、水平距離に比べて高度差が大きく滝のような流れと例えられる手取川のジオパーク構想、相川・小川・美川から鶴来まで遡りその扇状地部分を巡るジオパーク研修に参加しました。夏にはヨットで海上を走っていて相川沖の埋没林の存在は承知していましたが、初めて聞く小川沖に沈む白山さんの大鳥居は多分なら単調な海岸線のランドマークかと想いながら、すでに海底に眠るものと思っていた手取川河口の加賀藩お台場跡は浸食を免れたことを知りました。手取川の歴史は水害の歴史でもあったそうです。海岸の近くに住む者にとっては当たり前のことですが、砂丘地などのある海岸沿いの土地は高く、内には潟の如く低地が広がり水が漬くとなかなか退かず、伝統的な集落は島といわれる少し標高のある場所に位置しています。水を逃がす霞堤を築いても水害を抑えるものでなく、昭和九年の大洪水の凄まじさは今も語り継がれ、昔話ではないとの認識を新たにしました。この手取川の水は普段は鶴来に取水口を設けて用水として管理され、扇状地一帯を穀倉地帯として潤しています。米が豊富にあったせいなのか、この土地には蕎麦も焼酎もありません。全て耕されて農地となり山菜も無いつもりでいたら、砂浜にはハマボウフが葉を拡げていて昼食に頂くことができました。かつては砂丘地の黒松林に入るとショウロも見つけることができたようですが、これこそ今は昔のお話しになってしまいました。

2013年4月30日