スモールトーク
新米に底引き

彼岸を過ぎて少し秋らしくなったとはいえ、低い角度で窓の奥まで射し込む陽射しには夏とは別の暑さを感じます。気温も例年よりは高目のせいか花壇の草がずっと茂っていて、春の花の種を蒔く時期が分からなくなってしまいました。暑さから逃れるには水が一番、母親をデイサービスに送ってからひと涼みしようと浜に出ると風が気持ちよく、黒々とした沖に白く跳ぶ波を眺めながら渚を歩いていると戻りが遅れてしまいます。それでも海の季節は終わりが近づき、一度も海に出ないうちに最終レースの案内が届き、シーズン打ち上げのバーベキューのお誘いまで頂いてしまいました。
身近に秋を探せば、まず食べ物です。古くから早場米の産地ということもあって周辺の水田は稲刈りを終えて新米が出回っています。底引き解禁ということで魚も地物が揚がり、カレイやハタハタなど煮物になる魚も出てきて、晩ご飯に燗酒でも落ち着くようにはなりました。いつでも手に入るような気のする果物も、イチジクやナシなど年に一度は食べておかねばと、無理やり体に季節を覚えさせているような気分です。気がつけばこの夏も熱中症だの食欲不振だのと心配することなく、今日は何を食べようかと考えるだけの日々を過ごしてしまいました。さて、窓から入る風は北に変わり、引っ越してからは冷たいお茶しか用意していなかったのですが、そろそろ熱いお茶の用意もしなくてはなりません。
2012年9月28日