スモールトーク
災害の経験と防災

東日本の大震災からやがて2年を迎えます。地震・津波に加えて想定外とされた原子力発電所崩壊事故の被害が国と私たちの未来を大きく変えることになりました。数十年の単位で「想定」していたことの多くが数万年の単位で考え直さなくてはならなくなったようです。ここ数十年の時間に限れば私自身の住んでいる地域においては、直接に戦災や震災には遭っていないものの、これは防災技術の進歩に加えて「運」が良かったと考えた方がよさそうです。父から聞いた大聖寺の町の大火、母から聞いた手取川の氾濫と大洪水、いずれも昭和9年のことながら、体験した者にとっては火を止めた樹木の存在や水の漬いた境界の位置などは一生ずっと忘れることのできないことのようです。地震や火災・水害・旱魃に加えて地域的に心配なのは雪害と落雷、誰も経験していないのが白山山系の噴火でしょうか。噴火に関して過去の記録は多くはなく、噴火の態様として火砕流が予想されており、季節によっては扇状地を走る火砕流による直接的被害だけでなく山間地の雪を解かして生ずる水害も見逃せない事態となります。扇状地を極端に南寄りに流れる手取川ですが、扇状地の中央を突破するように流れることを考えると、自分の住んでいる地域はこれに呑み込まれるしかないところです。これとは直接の関係はないのですが、石川県からご案内があって、災害ボランティアの方からお話を聴かせていただく機会を設けました。これまでも定期的に開催していた研究会の一環なのですが、今回は少し趣向が変わり“ボランティア”関連のテーマで準備を進めています。会員外の方でもオブザーバ参加は歓迎しますので、関心をお持ちの方はご参加ください。
2013年2月28日