スモールトーク
男の正月料理
正月元旦の朝の料理は父親が出すことになっていました。お神酒と鮒なので料理とは言えないかもしれませんが、母親が雑煮を作る前に、これだけは父親の役割だったと覚えています。正月前になると、市場でほどよい大きさの鮒を買ってきて泥をはかすところから始まり、コップ酒を片手に七輪で焼いてから、大鍋にお茶をたっぷりと入れて煮ると、一日では終わりません。翌日、冷めて煮汁がベロベロになるのは、寒露煮や佃煮では味わえないものでした。難しくもないので、もう少しスローフードの伝統を教わっておけば良かったと思っています。浜処ということもあって、爺さん連中は普段から魚を捌いていたのですが、私が父親から習ったのは包丁を研ぐところまででした。誰かに教わらなくとも、男が魚を料理するのは当り前だったのです。
2006年1月1日