スモールトーク

百舌の声に振り返る

昨年の春先から武漢のコロナウイルス感染が拡大し、休業の対応に追われるなど時間的に詰めた面はあっても、気分的にはもう二年近くも委縮したままの状態が続いています。そんななか、私どもの事務所にとってこの一年は大変なことが続きました。企業にとってワークライフバランスの推進が課題になっているのに、介護離職の防止や病気治療と仕事の両立への取り組みをサポートすべき社会保険労務士事務所でこのどちらも成就できずスタッフを失ってしまいました。一人は介護が必要な奥さんの側に居てあげたいと言われ、在宅勤務など採り入れて自宅で家族と過ごす時間を増やすことを考えたりもしましたが、残念ながらそれ以上のサポートができないまま離職を選択されました。定年年齢を超えた人のため見かけ上は契約期間の満了のように見えますが、実際のところは隠れ介護離職ということになるのかも知れません。親の介護をしながら無理して定年まで勤めて、継続雇用を希望すれば勤務を続けることができるのに、定年を機会に親の介護のため退職するのと同じようなものです。一人は持病で通院しながら勤務していて、病気治療と仕事の両立支援についてのセミナーなど受講して本人に相応しいサポートを検討していたところ、体調が悪くなって入院したまま暫らくして亡くなったものです。普段から受診していた病院がコロナ感染でクラスターを発生させてしまい、主治医が不在だったことも重なって外来での診療を断われたらしく、事務所として何もできないまま整体師を頼って我慢を続けたあとに離れた地域の病院に入院させてもらえたのですが、残念ながら回復することなく私どもと顔を合わせることはできませんでした。相談の窓口など分かっていれば何か対応ができたかも知れないと考えると、何らかの支援に向けた準備態勢を整えておくことが必要だったと思います。コロナの先を考えるべき時期になり、少し後ろを振り返ることができました。

2021年11月30日