スモールトーク

砂の岬

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ワールドカップ・サッカー・ブラジル大会では日本チームが早々に敗退してしまい、ちょっと寂しく朝のテレビ中継を見ていました。つまらないので、開催国ブラジルということで売りに入ったのか、「ブラジルの声」ミルトン・ナシメントのCDが安く出ていたので一つ買ってみました。40年以上も前の「クルビダエスキナ(街角クラブ)」というこの方面ではかなり評判のアルバムです。鉄条網のジャケット写真に引かれたのですが、内容はミナスジェラエスの仲間たちとの雑多で豊かなメロディにポルツガル語のボーカルが乗ってきます。ブラジルというと想うのはサンバやボサノバですが、聴いたのはもっと別のブラジルでした。
 さて、地球では日本の裏側にあたるブラジルに夏も冬もないかも知れませんが、こちらは暑くなってきました。気象台の梅雨明け宣言など気にせず、雷がやんだらセミが鳴き始めました。夏休みということもあり、海にも山にも多くの人がでています。ここ30年ほどのうちに最高気温が上がっていているそうで、家の戸を開け放って昼寝するより車で海や山に出かける方が楽になっているように思います。かつて、海岸沿いの砂丘地に松林を作って防風と砂防に備えた時代を知る人からは、松林を通過した浜風はエアコンより心地よかったと言われました。早起きしてお昼前にたっぷりと仕事をしてから、昼ご飯を食べた後はこの風にあたって昼寝して、陽射しが和らいだ頃にもう一汗流し、日の暮れ前の凪いだ海で体を冷ましてゆっくりと夕ご飯をすませる、40年前のブラジルの声が記憶のどこかに残っているような気がします。ブラジルの砂の上を歩く機会はないかも知れませんが、せめて、ゆったりとした海の風を体に感じる時間を大事にしたいと思います。 

2014年8月28日