スモールトーク
積み残しイベント
色々な場面で「懇親会」が開催されるようになってきました。パーテーションのないテーブルを囲み、当たり前にアルコールの乾杯で始まり、大皿を避けて個々に取り分けた料理が配られると、次第に歓談の声量が大きくなります。堂々とした二次会のお誘いは控え気味というところでしょうか。 コロナ感染を警戒して出席を躊躇する人は少ないようで、久しく顔を合わせる機会がなかったことから、その穴埋めをする気持ちで参加する人が増えている気がします。これからの時期、新年度に入って前期の決算を終えて総会の開催に続けて懇親会を企画する団体が多く、会場探しに苦労するようになってきたとも聞いています。私ども社会保険労務士の集まりではここ暫く総会など多数の人に参加を呼び掛けることなく委任状の提出を求め、その結果、同業の者同士が情報交換する機会が極端に少なくなってしまいました。ZOOMなどネット経由でそれなりの情報は伝達され消費されていても、ナマのコミュニケーションに渇きを覚えた印象があります。ポストコロナ、ビヨンドコロナと言われるこれからの時代を考えると、ネットを経由した上質な情報の流通を衰退させることなく、人と人の繋がりを確かなものにして組織としてのまとまりを築き上げることが期待されているように思われます。石川県社会保険労務士会では小松支部の名称で能美郡・能美市・小松市・加賀市に拠点を置く者で一つの支部を構成しており、私自身はこの支部に所属するのですが、何年も前から支部役員を降板したままコロナで支部が活動を抑制していた時期を過ごし、状況認識が曖昧なままに突然の支部役員復帰という事態に陥りました。数年に亘り殆どの事業は休止し、その間の会費は未収ながら十分に繰越金を抱え、会員はお互いの顔も名前も分からない位置からの再スタートのようです。かつての事業を思い出しても仕方ないのですが、商工会議所での雇用対策セミナー開催や旧小松短期大学での社会保険セミナー開催などは消滅し、バーベキュー大会や地元温泉での泊りの懇親会も継続した開催が難しく、前執行部から引き継いだイベントは一泊二日の研修旅行でした。様々の事業を実施継続するに至った事情も消滅に至った事情も詳しくは分かりません。基本的な会の事業として考えると、個々の会員の資質向上と会員相互の連携強化がミッションであり、行政機能が金沢に集中しているなか、地方の支部として地域との連携もまた期待されるところです。当面、積み残しとも言うべき研修旅行ですが、資質向上と相互親睦の趣旨を兼ね備えたメインイベントとして企画したところ、多数の参加申込を受け実施に向け企画が進行中ということです。コロナ禍でバラバラの会員が何かお互いを必要としている時期に来ているようです。「孤立が連帯を求める」というオルテガの言葉を思い出します。
2023年5月8日