スモールトーク
給水塔
美川県一の町で少しだけ有名になった旧美川町の給水塔が取り壊されることになったようです。「県一」の看板のついた下水処理タワーだけでなく、前から親しんできた町の水道の給水搭も取り壊されそうです。外壁を化粧直ししたり夜間はライトアップしたり、とても大切にされていました。子供のころ米原発の北陸本線普通列車は海水浴シーズンにしか停車しない小舞子駅を過ぎてトンネルの様になった陸橋下を通り手取川鉄橋を渡ると何とはなしに異空間、美川駅を発車するとまだ残る松林を背景に石コロ屋根の向こうに見える給水塔にワクワクしました。給水塔の上は展望台になっていたそうで、車窓から眺めるだけでも充分に面白いランドマークでした。次の駅を出た辺りからは海まで水田が続き、遥か遠く、父の生まれた海沿いの村にも給水塔があって指し示される先を見つけられないまま眺めていると速度が落ちて「あんころ」の声で下車です。長い待ち時間をおいて乗り換えたバスからも小さな給水塔を見た記憶があります。手取川扇状地の先端で上質の湧水が豊富に出そうな場所にどうしてこんなものが必要だったのか分りませんが、海岸線の村々に大小のタワーが一斉に建造された時代があったのかもしれません。気がついたら、その殆どが老朽化して既に見ることができなくなっています。
2009年7月5日