スモールトーク

脳内報酬系アノニマス

 少しコロナが収まりかけたのかと思っていたらオミクロン株が急拡大してしまい、これまで以上に感染防止対策が必要になってきました。3月から4月にかけて開催を予定されている新社会人の研修も、リモートに切り替えるか日程を変更または中止にするか、今年も悩ましい時期になってきました。この2年間、講師を引き受ける立場からしてもリモート研修が当たり前になっていますし、受講する立場から考えても県外に出かけて研修を受けることなどなく、ほぼ全てがリモートで開催されるようになっています。自分の席で受講してしまうと緊張感もなく周りの音まで拾うことが有るので、今回の研修は隣に場所を変えて「ギャンブル依存症」をテーマに2時間たっぷりと講義を聞くことができました。競馬やパチンコなど合法的なものから賭博罪として違法なものまでありますが、初めは娯楽だったのに問題行動が多くなりさらに病的なところに陥ってしまうので、時間をかけた対応が必要なようです。ギャンブル依存症はWHO(世界保健機関)が認定する、れっきとした病気で、主な症状としては、
1.ギャンブルをやめたくても止められない、
2.ギャンブルをしたいという衝動を抑制できない、
3.ギャンブルが原因で借金など社会生活上の問題が生じている、
4.その繰り返しによって身体的、心理的、社会的信用が害される、
などとされています。健常者とギャンブル依存症患者には脳の働きに明らかな違いが見られ、脳内報酬系と呼ばれる部分の異常から賭け事の刺激を渇望し、依存から社会生活に支障をきたしても賭け事を反復して身体的精神的症状を引き起こすことのある病気ということです。職場においては横領などにつながるリスクが大きく、親族が金銭的な穴埋めをしても寛大な処置で済ますことは、アルコール依存症の人の肝臓を補強するようなもので病気を再燃させることにしかならず、むしろ上司がキチンと訳を訊くことが効果的だということでした。自分の意志の力や家族の愛情で回復することは不可能とされ、ギャンブル依存症には環境づくりが大事で、アノニマスと呼ばれるグループに参加することが継続的な回復に向けた助けになっているそうです。私には、病気とか治療とか、障害とか依存とか、線引きのできない領域の出来事のように聞こえましたが、診断書にこんな病名を見る日があるかも知れません。事務所に居ながら熱のこもったライブ感のある研修を受講し、配信終了後に資料を取り寄せるという間の抜けた態勢で、時間をかけて準備して置けばもっと充実した聴講ができたかと、まだまだ慣れたとは言い難いリモート研修です。

2022年1月31日