スモールトーク

近未来のデジタル生活

 マイナンバーカードを作るとマイナポイントがもらえるとか、マイナンバーカードを健康保険証として利用する申し込みをしたり公金受取口座として登録したりすると更にマイナポイントが上乗せされるとか、まさかと思うような施策に乗って2月のうちにマイナンバーカードの作成申込は75%を超えたようです。行政にとっては、複数の窓口機関ごとにバラバラに存在する同一人物の個人情報が紐付けされて突き合わせられることで、行政手続きが効率化されて国民の利便性も向上し不正受給の防止など公正な社会の実現につながると言われています。実際のマイナンバーの利用は厳しく制限されており、社会保障と税と災害対策の分野に限定して、なりすまし防止のため利用目的を明示して番号と実在の確認を経た本人確認をしてマイナンバーを取得することになっています。私ども社会保険制度に関わる事務所の業務に於いてマイナンバーを扱わずに手続きが進むことはほとんどなく、行政の利便性向上と併せて裏付けとなる個人情報の紐づけとなる「ヒモ」の確実な入手と厳格な取り扱いが重要になり負担にもなっています。例えば被扶養者の異動にあたってマイナンバーに関わる本人確認ということですと、利用目的を明示したうえで事業主を通してその従業員の家族が本人に間違いないことを「マイナンバーカード」或いは「マイナンバー入り住民票+顔写真付きパスポートなど」で確認ができていることを要求されることになります。そして、保存を前提にマイナンバーを取り扱った際にはマイナンバーの入手状況や取扱担当者の記録も必要となりますし面倒なことに不要となったマイナンバーを消去した記録も残さなくてはならないと言われています。このマイナンバーに顔写真やICチップをまとめたものがマイナンバーカードということで、公的証明の取得に利便性が高まり健康保険証や運転免許証とも一体化され、カードの電子証明書機能をスマホに搭載すると各種の行政サービス基盤とも連携一体化すると様々な支援がワンストップで済むという将来像が描かれています。これまでクラウドに人がアクセスして情報を入手していたのが、これからはサイバー空間から人工知能が情報提供してくるというイメージになります。そのため、紙にハンコを押すなどアナログ的ルールが見直されてデジタルに適合性親和性のある方法に移行しており、ガバメントクラウドとしてオンライン申請が当たり前のことになって来るようです。身近なところで先行しているのが金融機関で、これまで窓口で印鑑や通帳を確認しながら入出金したり送金したりしていたのが、窓口で現金を扱うことが殆どなくなると近くて便利と思っていた支店が閉鎖され、そろそろ小切手も預金通帳もなくなってしまいそうです。マイナンバーカードを作ることさえ難しい高齢者などデジタルデバイスといわれた時代のことを思い出すと、時代の流れに乗るというより滝壺に飛び込むくらいの時代に差し掛かっているように思います。

2023年4月4日