スモールトーク

NPO法人による施設運営に向けて

かつて、会社は別でしたが、同じビルで働き同じ電車で通勤していた知人が障害者の授産施設を立ち上げようとしています。長い間ずっと会うことがなく、お互いに退職したことも、小松で仕事をしていることも知らずにいました。当時の通勤仲間というのか、このビルで一緒に仕事をしていた別の仲間から突然に電話があり、相談にのって先の構想を聞いてもらえないかという話から久し振りに顔をあわせることになりました。そこで聞いたのが、彼は障害者施設で働いていて、施設を利用している障害者の人たちがこれから先も長く安心して働き利用できるようにしたいとの考えでした。障害者の自立やノーマライゼーションという理念の拡がりとともに、働く意欲と能力のある障害者がもっと働ける仕組みをつくり、利用者に公平な負担を求めて財政負担を軽減しようとする社会の大きな流れを感じているようです。これに対し、これから目指す暮らしとは、必ずしも明確に気持ちを表現する訳ではない障害者の言葉にきちんと耳を傾けその願いを聴き留めて、制度の変化に振り回されることない落ち着いた生活です。障害者ひとり一人の家族にとっては自分が居なくなったとしても心配のない暮らしです。さて、このような施設は社会福祉法人によって運営されるものだと考えていましたが、実はNPO法人で運営することも可能なのだそうです。授産施設として活動するには県から一定の設備や管理者などについて確認を受けないと認定されませんが、広大な不動産の所有を条件にしたり、高額な資金の流動性を条件にしたり、制限を受けるものではないということです。また、NPO法人自体の設立は任意のものであり、多少の人的な要件を別にすれば一般の法人設立と比べても特別に問題が発生するようなところはありません。ただ、融資を受けようとすると、非営利を目的とする団体が返済の資金をどこから捻出するかを問題にされるのか、融資や相談の窓口が少なく、自己資金を充実できない新規設立NPOが外部から資金を調達するのはなかなか難しいことを知りました。本格的な始動までにはもう少し時間がありますが、この準備期間のうちに解決するべき課題はまだまだ多く出てきそうです。

2017年9月12日